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Pure Love ~君しか見えない~

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 久しぶりに、和人が指文字でそう表した。普段は“君”という言葉で省略している和人が、幸を愛称で呼ぶのは、決まって大事なことを言いたい時だと、幸はわかっている。幸も一瞬、息を飲んだ。
『僕は君より年下だし、障害も持ってる。だけど、君を好きな気持ちは、誰にも負けないよ』
「和人……」
『僕には指輪を買えるお金もないし、これから食べていけるだけの保障もない……不安材料ばかりの僕だけど、僕はこれからも、誰よりも君のそばにいたい。だから……』
 和人は呼吸を整えて、幸の顔を見つめた。幸もその先の言葉がわかっていながらも、期待に次の言葉を待っている。
『だから、僕と……』
 幸も思わず身を乗り出し、自分の手の中で動く和人の手話を、固唾を呑んで待っていた。和人も幸が待ってくれていることを知りながらも、なかなか思うように口にすることが出来ない。
 和人は深呼吸をすると、意を決して幸を見つめる。
『僕と、結婚してくれませんか?』
 やっとの思いで、和人がそう言った。幸は待ちきれなかったとばかりに、和人に抱きつく。
「和人、嬉しい。本当に嬉しい……」
 和人は幸を離すと、何と言ったのかと尋ねる。幸も微笑んで、和人の顔を見て言い直した。
「ありがとう。嬉しい」
 幸の言葉を聞いて安堵の笑みを浮かべ、和人は幸をもう一度抱きしめた。
(愛してる……)
 二人の心が、共鳴するように高鳴る。互いに明るい未来が見えているわけではない。幸の目が見えるようになっても、二人には困難な道もきっとあるだろう。しかし互いが互いを引き寄せ合うように、二人はもはや離れられない関係となっていた。