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Pure Love ~君しか見えない~

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 確かに、耳の聞こえない和人にとって、普段のコミュニケーションは手話か筆談が主だ。けれど、相手が目の見えない人物ならば、手話も筆談もすることが出来ない。相手にとっても、無理に和人がしゃべろうとしない限り、会話すら交わすことが出来ないのだ。
 そのため、互いに悲しむのは目に見えている。ましてや未だ現実を受け入れられない幸にとって、和人の存在は今は考えられないものだと思った。
『そうだね……僕がいたら、さっちゃんももっと辛くなるかもしれないね……』
「カズちゃん。ごめんね……」
 和人は首を振った。
『それじゃあ、さっちゃんが少し落ち着いた頃に、また伺います……おばさん、気を確かに。頑張って……』
 そう言うと、和人は静かに病院を後にし、そのまま実家へと戻っていった。実家にいた和人の母親も、幸のことを知って深く心配し、涙を流していた。
 また、すでに受賞した作品と受賞賞金も家に届いていた。母親もとても喜んでくれたが、幸のことを思い出すと、二人とも気が落ち込むばかりであった。