【オリジナル】連載小説のつもりだったような何か。
三号館の西階段を3階まであがる。すぐそこには図書館。
スライド式の扉の上のプレートには「第二図書館」とかいてある。
この学校――県立東西高等学校――には図書館が2つある。
第一図書館は、生徒たちに人気のある雑誌や漫画、本などを貸し出している。
そして第二図書館は、専門的な分野の参考書などが置いてあり、一般の生徒はほとんど使用しない。
私はその、静かな第二図書館でほぼ毎日勉強をしている。
――という風に見えるだけで、実際のところは教科書とノートを開いてぼーっとしていたりするだけである。
私がちゃんと勉強するのはみんなと同じようにテスト前だけ。
(今日の夕飯どうしようかな……)
シャーペンを持ったまま頬杖をついて、窓の外を見る。
野球部が寒い中必死に練習している姿が見えた。
(寒いし、鍋、とか……)
そうだ、鍋でいい。
そうと決まれば後は楽だ。
買い物メモを作るためにかばんから、左下に小さなうさぎの顔が申し訳程度に書いてあるシンプルなメモ帳を取り出す。
そして、鍋に必要な食材を書き出していく。
(いつも同じ味付けだと、飽きるよね……)
ないとわかっていても、参考になりそうな本を探しに行こうと立ち上がる。
まずは日本食のコーナー。
どれもほとんど、見知った本ばかりだった。
鍋はやめて、たまには洋食にしようかしら。そう思って洋食の本がおいてあるコーナーへ移動する。
普段洋食とはほとんど縁がない。そのせいかそこは、キラキラ光っているように見えた。
本を読んでいると楽しくなって、どんどん奥へと進んでいく。
視界の端にチラリと、人影が見えた。
(人?珍しい……)
少し気になって、人影の方へ進んでいく。
突き当たりの通路へ入れば、少し茶色い髪の毛の、整った顔立ちの1年生が壁に寄り掛かって寝ていた。
それが、彼と私の出会い。
作品名:【オリジナル】連載小説のつもりだったような何か。 作家名:しのだ