京の夢 大阪の夢
--coution--------------------
創作都道府県擬人化
大阪×京都
R15?
------------------------------
黒くしなやかな髪が床に広がる。
覆いかぶさるように京都の体に乗り上げた俺はそれをじっくりと見下ろしていた。
いつもどんよりとした表情を浮かべている京都が、乱れている。
血色の悪い頬を紅く高揚させ、青白い唇が朱をさしていた。
床ばかり見ていた瞳を今は俺に向けていて、京都の睫毛はこんなに長かったのかと、何百年ぶりに実感した。
長年ずっと傍に寄り添いながら、触れることができなかった京都の肌。
江戸の世も、戦国の世も、背中あわせに戦うことはあったが、それでも、剣を交えることの方が多かった。
それがニンゲンではないものの生きる道なのは承知していたが、感情は別にある。
傷つけてばかりだったが、いつかこの肌に優しく触れられればと思っていた。
俺は京都の瞳から流れ落ちる雫を舐めあげる。
しょっぱい。
京都がくすぐったいのか身をよじった。
俺はそんな京都の頬を手で固定してゆっくりと口づける。
柔らかい唇だ。
普段どんよりしてるくせに合わせた唇は瑞々しくて、それが京都らしいと思った。
京都が誘うように薄く唇を開いたので、俺はその隙間に遠慮なく舌を潜り込ませた。
一先ず、べろりと大きく咥内を撫でまわすと、京都は鼻から抜けるような吐息を洩らして俺の首に両腕を回した。
歯並びの良い歯列をなぞり、口の中の唾液を余すことなく吸い、そして今度は唾液を与えてやる。
京都は飲みきれなかった唾液を口端から次々に零していく。
後で舐め取ってやらなければいけない。
逃れようとする京都の顔を、頭に手を回して固定することで防ぐ。
ぴちゃと卑猥な音を鳴らしながら、俺は満足いくまで唇を貪った。
唇を離すと銀糸がお互いを繋いだ。
直ぐにぷつんと切れてしまったのがもったいないと感じながら、俺は自分の口端についた唾液を舐め取る。
荒い呼吸を整える京都はそんな俺をぼうっと見ていた。
「京都、」
「・・・大阪、好き。好きなんや。さかいに離さへん」
そう言ってぎゅうと抱きついてきた京都を俺は抱きしめ返した。
着物に焚き込められた香の香りが鼻をくすぐる。
ずっと触れたいと思っていた肌に包まれることに俺は満足感を得ながら、男の癖に頼りなく細い京都の四肢に、京都が生きてきた時代の流れを感じて、場違いに頭の片隅で感傷に浸った。
*
俺は勝手に棚から物色して取り出した京菓子をぽいと口に放り投げる。
「まあ、京の夢 大阪の夢やけどな」
「・・・早ういね」
台所で夕餉の準備をしていた京都が、はぁとため息を吐いた。