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少年Cの告白

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日曜の夜、僕は彼を殺めた。



蒸し暑い夜だった事だけ、それだけ妙に覚えていたが
それ以上は記憶に、恥ずかしい事に残っていないのだ。
彼を殺めたその瞬間そのものなんてあやふやで、彼が
どんな顔をしていたのかも覚えていない。

そもそも、何故自分は彼をあやめてしまったのだろうか
思い出すと酷く吐き気を覚える。
胃が、体が、細胞の一つ一つが拒絶していく。


ただ信じてほしい事が一つある、それでも彼を僕は愛していた。

自分で殺してしまった癖に何をぬけぬけと、と思われてもかまわない。
僕は彼を愛していた。



彼と出会ったのは中学時代だ。
いっては何だが僕はクラスのなかでも、比較的明るく人付き合いも良かった。

それに反して彼はクラスでも目立つ事のないそんな存在。

普通に暮らして居れば交わらなかっただろう、僕と彼はクラスで行われた
席替えで隣同士になり、そこから彼とは急速に近くなったのだ。

最初は、たしか教科書を忘れたそんな他愛もない話。
そこから、何が好きで普段何をしている
そんなお互いを知る会話をただただ重ねて行った。

男同士なんて、当時バカだった僕らからしたら気に留める材料にもならず
会話をかさねるごとに彼を愛おしく思う気持ちが膨れ上がっていった。

付き合うには、時間はかからなかった。

男同士で付き合って周りはどうだったか?
そんな否定的な声も聞こえなかった、ただ聞いてなかっただけかもしれないが
僕にはそんな声は聞こえなかったわけで。

多分凄く幸せだったんだ。

波も無く、周りからも否定されず、互いに互いを愛し合える。
そんな日々が本当に幸せだったんだと今なら言える。

それが今はどうしてこうなってしまったか?
それは、僕にもわからないんだ。

そう、蒸し暑い日曜の夜だって事しか思い出せないんだ。



彼が妙に泣いていて、彼の体温が心地よかった事しか思い出せないんだ。
愛しい、ただ愛しい彼。
ただ、言えるのは横たわるこの視界から見る月は酷く綺麗で
そのやさしげな光が照らす彼の姿は、その月よりも綺麗なんだと。

そうだ、僕は彼を愛していた。
誰よりも、どんな奴よりも。


あぁ、だからどうか逃げて。
僕の胸を刺したそんな包丁なんか投げ捨てて逃げておくれ。

泣きながら僕をその温かな腕で抱きしめるよりも早く逃げておくれ。
大丈夫、恨みやしないよ。
恨むならどうか僕を恨んでくれ。

君のこれからの人生を殺めてしまったのは僕なんだから。
君の幸せな日々を殺め、その幸せを奪わない様にと出来たかったのは僕なんだから。




愛しい君を殺めてしまった事、ひどく後悔しているよ。
どうか、逃げて。逃げて、逃げて逃げて、逃げ切った先で僕を少しだけ思い出して。

それだけで僕幸せだ。

日曜の夜が終わり、月曜になったらあたらしい君がきっとうまれる。

あぁ、僕は幸せだったよ。本当に幸せだったんだ。
ただ、もう遠のく意識を止められない。彼の声が遠のくのをとめられやしない。







「そろそろ、さよならの時間だ。」
作品名:少年Cの告白 作家名:なまり