vampire love
教会
雪でも降りそうなくらい寒い夜
村はずれの森に
一つの廃墟があった
いくつか壁は完全に壊れていて入口は大きな口をあけているようだった
そこは見る限り建物と呼べるものではなくなっていた
無造作に鐘が建物の中の床にに横たわっている
その横には綺麗な色をしたガラスの破片が散らかっていた
木製の長い椅子がいくつかは壊れている
その建物の奥には天井に十字架がつるされてあった
幸いその周辺の壁は崩れておらず
隙間風も少ない
そしてその周辺には
不自然に綺麗な色んな種類の花が咲いていた
そこだけがお花畑のよう。
ステンドガラスから月の光を受け、まるで別の世界みたいに
その小さなお花畑は美しかった
そのお花畑の中心に
一人の少女が横になっていた
肌は白く髪は金色で川の流れのような長く美しい髪だ
体は小さく
周りから見ればまだ子供だ
しかし周りにはだれもいない
彼女一人しかいない
それ故か
眠っている彼女は
辛く苦しい顔をしている
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「××××ちゃん」
顔の見えない彼女のよく似た女性が何かいっている
・・・・・・・・
「ママ・・・」
「××××ちゃん」
「ママ!!」
少女が起きると太陽の光がワインレッドの目に入った
彼女が起きたと同時に何枚かの花弁が舞った
ゆめ・・か・・
少女は自分の手をじっと見つめ
そのあと唇を確かめるかのように指先を触れた
少女はその場に縮こまって震えた
作品名:vampire love 作家名:choc戌