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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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二者択一

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 「Choose this or that」
 「・・・」
 外人さんが手に持っているもの。一つは違法ドラッグ;もう一つは銃。
 「You can choose the way you'll go. One is to be a seller; the other a killer」
 「売り子になるか、殺し屋になるか、か」
 私は悪の道へと着実に進んでいる。売人と殺人者、どちらの方を選ぶか。
 「I wanna choose to be a seller」
 「Okay, take this」
 彼は麻薬を手渡した。

 #

 少女売人はとかく顧客を集めやすい。いくら悪い物をほしがっていても、それを893関係者や不法滞在の外人さんからは買いたくないと言うわけだ。少女からなら気軽に買えると言うこと。
 もちろん麻薬なんて手を出すというのは、いずれお金をすってしまうから、凶暴な殺人鬼になったり、自殺してしまうこともありうる。だが、殺人鬼がくるという場合、私は素直に身を引く。後ろの殺し屋が始末するわけだ。
 「今月は六人」
 殺し屋がつぶやく。発狂して人格を失ってしまった廃人が六人でてしまったそうだ。
 「そろそろショバを代えねえとな」
 「はい」
 私は素直に従う。そうしていれば儲けの四割を手に入れられるのだから。

 #

 「おまえ、いつになったらこの業界を出るんだよ」
 「え」
 「普通、こんな業界はな、いつかぬけるんだよ。お前も30すぎれば徐々に体がみすぼらしく見えてくるし、お前等売り子は足洗って俗に戻るんだよ」
 「戻ってどうするんですか」
 「男作って結婚して、パートで働く」
 「あなた方はどうするんですか」
 「殺し屋は足洗うわけには行かねえだろうが。馬鹿なこと聞くな」
 あのときの選択肢によって、未来が変わるわけか。
 「ただ」
 殺し屋の男性はさらに続ける。
 「殺し屋になろうと考える奴らって言うのは、へんてこりんなことがあってねじが抜けてるか、それか一攫千金をねらう奴らかだということだ。俺は後ろ側。だからお前も結婚するなら平凡な奴にしておくこった」
 「素性がわからない人と結婚する金持ちはいませんよ」
 「わかんねえなあ」
 その言葉がわからなかった。

 #

 「おかえりなさい」
 私はエプロンを掛けている。普通に足を洗って、主婦になっている。

 「俺、会社を辞める」
 「どうして」
 「正直、もう会社にはいられない」
 夫がストレスをため込んでいることもわかっていたが、もうすぐ昇進するのになあ、とさりげなく反対した。
 しかし、その晩、夫が風呂に入っているときに、どこかから電話がかかってきた。
 「脱サラさせてやれ」
 「あなたは」
 私が売り子をやっていたときの殺し屋の声だった。
 「言っただろう?」
 そのとき、私はしかしなんのことだか忘れていた。
 「昇進したら金持ちになるだろうが」
 どうも、やっぱり裏にいると普通の生活にはいられないようだ。まいった。今年は凶作の年なのに。それも、この先4、5年は続くのに・・・。
作品名:二者択一 作家名:フレンドボーイ42