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緒賀 あゆほ
緒賀 あゆほ
novelistID. 9178
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サイの特等席

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Episode.1 偶然






皆さんはドラゴンっていると思いますか。
私は好きですけどね…ドラゴン。
「緒賀ちゃーん、次此処の文章読んでくれる?」
窓の外の透き通るような空を見ていた私、緒賀智未の耳に
先生の声が響いた。
「あっ…はっはい!」
スグ我に返って教科書の文章に目を通す。
グタグタと詰まりながらも読み上げる。
「はい、ありがとう。いいですか?ここは…」
国語担当の萩原先生が黒板に向き直るのと同時に
私はイスに座った。
一瞬、怒られると思ってたので少し安心していた。

「緒賀ちゃんあとで裏の花壇に水やりよろしくねー」

「え!!」と私が叫ぶと
教室の中に笑いの渦が起こった。
私は一人ため息をつきながらまた窓の外を見た。



鳥は声を響かせながら、羽を青い空に伸ばしている。



なんて、自由なんだろう。
鳥は一人で行きたい所へ行ける。
本能のまま、気の向くまま
それは私が幼いころから憧れていた姿だった。


授業中によそ見をして
この花壇に水をあげられるよう命じられた私とは違う。


果てないこの青い空を何所までも
自分の力ある所まで飛んで行ける…。


いっその事鳥に生まれたかった。


でも、もう遅いんだ。
私は人間としてこの世に生れた。
その現実を否定したりしても何も変わらない。
ならいっその事、
たとえばドラゴンの様に大きな鳥の背中に乗って
鳥の感じている風を感じたい。


蛇口につながったホースをとって
ひとまとまりにして片付けると
私は教室に戻ろうと、校舎に足を向けた。




コロンッ



何か大きな石でも転がしたような音が
校舎裏に響いた。



振り返ると
私がこれまで見たことのない様な
真っ白な丸い物体が落ちていた。




「何…これ…」



一瞬の緊張と恐怖で大きくなった私の鼓動い合わせて
物体がゆっくり動きだした。

近づいてみると
つるりとした表面に一本の亀裂が入った。

その亀裂から何かが外へ出ようとしているのが見えた
しばらくみていると、亀裂が大きくなり
卵は真っ二つに割れてしまった。


そしてそこに現れたのは…




「え………」




漫画やアニメで見る様な
綺麗な空色をしたドラゴンの様な生物だった。









作品名:サイの特等席 作家名:緒賀 あゆほ