採取
対象となる星域では恒星が1000万個ほど破壊される計画だ。
この地域には生物の住んでいる惑星が数万程度ある。
そこでこれらの惑星からは代表的な生物と、
そのエサを一つずつ集めることにした。
大多数の星ではすんなり決まったが、
問題は多くの生物が住む地球だった。
どの生物を代表生物とすべきなのか・・・。
宇宙人の学者間でも議論が白熱した。
地球には一応、人間という知的生物が存在する。
だが、その文明はあまりに幼く、増えすぎて自ら滅びる運命にある、一過性の害獣だった。
「ならば別の、もっと代表にふさわしい生物を選ぼう」の声が多数をしめたが、
一部の学者が「知的生物が存在する時は、その種を優先すべし。と、いう宇宙法に触れると言って譲らなかったのだ。
結局、妥協の産物として地球からは二種類の生物が選ばれ、移植先の宇宙動物園に運ばれる事になった。
「なあ、これって規約違反じゃないか?」
「なあに別にかまわないさ。どちらか片方はエサにするだけだから」
そう言いながら、UFOに乗った作業員は、淡々と二種類の生物を捕獲採取し始めた。
人間とそのエサ用としてのゴキブリ・・・、
あるいはゴキブリとそのエサとしての人間を・・・。
―ーーおしまい――ー
作品名:採取 作家名:おやまのポンポコリン