十を数える家の話。
私の家には鍵がかかっている。
海を見下ろす小高い丘の上。
食事は日に三度。
朝は白いスープ。
昼は赤いスープ。
夜は黒いスープ。
私の家には鍵がかかっている。
柔らかな木漏れ日が部屋の窓ガラスを通して流れ込む。
住んでいるのは三人。
一人は私。
一人は料理人。
一人はあなた。
私の家には鍵がかかっている。
しっとりと濡れた土の足跡の廊下。
訪れる人は三人。
一人は郵便配達。
一人はおかあさん。
一人はあなた。
この部屋には夜が待っている。
開けたら二度と出られない。
部屋にいるのは一人。
一人だけ。
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怖い童話を目指す、目指した。