やさしい嘘
紫陽花小道に着くと、私は、あの時と同じようにピンクの紫陽花のような傘を閉じ、左右に振って雫を払い、少し大げさに両手を振り、歩幅も広めに勢いよく歩いた。
そして、振り返りながら、まぶたの奥の光景を思い浮かべる。
そこには、たくさんの紫陽花に囲まれたブルーの紫陽花のような傘と、その中で楽しそうに咲いている純ちゃんの笑顔と、きれいに晴れ上がった空に架かる七色の虹があった。
もうすぐ梅雨は明けるという。
もう夏は目の前だという。
END
P.S 次はこれの続編的なもの、「紫陽花小道」(語り手は純です)を書こうかと思っているので、そちらの方もよかったらよろしくお願いします(^^)