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日本失踪

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小さな体は、他の大きな国たちに埋もれて見失ってしまうこともあった。元からあまり社交的な性格ではないし、昔は長いこと自分の国に引きこもっていたほどだ。しかし最近は、世界の中でも上手くいっていた。小さな体のため他の国よりできることは限られるが、逆にそれが日本の強みになることもあった。メキメキと力を持った日本を、世界各国は一目置いていた。
 日本が、ある日突然、消えてしまった。連日あんなにまぶしかったそこは、今では真っ黒である。どこに行っても、たくさんいた日本人の姿は、今は見ることができない。あるのは、すっかり荒れてしまった大地だけである。日本はいない。どこかに消えてしまった。
 世界各国は、日本を探した。しかし、いつまで経っても、日本は見つからなかった。そのうちみんな、日本のことなど忘れてしまった。何百年も、何千年もの時が過ぎ、やがて日本は『かつての国』と呼ばれるようになった。
 さて日本は、いったいどこに行ってしまったのだろう。実は日本は、疲れてしまったのだ。耐えきれなくて、逃げ出した。ずっと日本は、苦しかった。自分の国の力だけでは、国を支えきれなかった。だから世界各国に頼るしかなかった、。しかし日本は、その小さな体に似合わず、プライドだけは人一倍大きかった。それにいつまでも周りに頼るのは、悪いと思った。自分が許せなかった。こうして日本は、世界から姿を消してしまったのだ。
 もっと世界に頼ればよかったのだろうか。それとも世界と交流を持ってしまった時点で、もう駄目だったのかもしれない。とにかく日本は消えてしまった。一度失ってしまったものは、もう取り戻せない。
作品名:日本失踪 作家名:吉村ユエ