サヨナラ、ママ。
#01 手のひら。
「労働者の手だなっ!」
初めて手をつないだ時の、彼の第一声。
その頃の私はガーデニングに夢中だった。
レンガを運んで敷いてみたり、植木を植えたり。
いつも素手でやっていたし、
クリームを塗るなんて考えたこともなかった。
手入れもされずに荒れて荒れて。
すっかり、“がさがさ”になっていた私の手のひら。
「えっ?」
びっくりした私に彼は言った。
「でも、俺はこの手がすごく好きだな」
人生の中で初めてだった。
そんなふうに笑顔で言ってくれる人に出逢ったのは。
そして初めて知った。
ありのままの自分を受け止めてもらえる奇跡。