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りりなの midnight Circus

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第六話 突然の出向


 それから一週間は平和なものだった。
 朝起きて、午前の基礎訓練を行い、午後はデバイスを使用した実戦訓練をただひたすらに続けた。その間に入った一日だけの休暇でも自主訓練をする者が多くおり、エルンストはその監督と指導に名乗りを上げた。
 訓練生はこの一週間で随分と成長したとなのはは実感した。
 それは、エルンストの存在が大きいことは目に見えて明らかだった。
 訓練生はエルンストが自分たちと同年代だということを知らなかったらしい。故に、自分たちと殆ど年の変わらないエルンストがあれほど見事な戦術を見せたことに驚くと共に、自分たちも負けてはいられないという気概を誘発したというわけだ。
 エルンストはそれを見て、皮肉混じりに、
「それだけやれるのなら、何故今までそうしなかった。お前達はまじめにしていなかったのか?」
 といってその成果を評したが、既にエルンストの人となりをある程度理解していた訓練生にとってはそれは最高位のほめ言葉だと感じたらしい。
 なのはとヴィータはそれを見て、この訓練生達はこのままエルンストに任せてしまってもいいかなと思い始めるようになった。
 しかし、訓練が軌道に乗り始めいよいよこれからだというところで三人はベルディナから直接呼び出しを喰らうこととなる。
 それは午後の訓練の仕上げの途中だった。突然訓練所を訪れた一人の教導官が三人に至急ベルディナの自室へと来るよう要請をしたのだ。
 エルンストを始め、なのはもヴィータも、あまりにも急な呼び出しに眉をひそめたが、命令とあればしかたがないとして、訓練を中断しベルディナの執務室へと急いだ。
 ベルディナは部屋を訪れた三人に、
「よう、早かったな」
 といって急な呼び出しを詫びた。
 どうやら彼はその直前までどこかと連絡を取っていたらしく、彼の手には通信機の受話器が握られていた。
 既に話し合いは終了していたのか、ベルディナは、
「では、そのように頼む」
 といってそれを下ろし、改めて三人と向き合った。
「いろいろ立て込んでいてな。本来なら事前に通達しておくべきだったが、それも出来なかった」
 ベルディナはそういって手元の端末を三人に手渡した。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪