二度寝
俺は百年先二百年先の未来がどうなっているのかがどうしても見てみたくて、当時最先端の技術であったコールドスリープの実験台に自ら名乗り出た。子どものころに夢に見た未来の世界へと行けるかもしれないのだから、失敗したとしても構わなかった。だがどうやら実験自体は成功したらしい。
しかし問題は今目の前に広がっている光景だ。瓦礫にまみれた大地は生き物の姿はおろか植物も見当たらない。それに俺の記憶が確かであれば、コールドスリープ装置が置かれた建物は巨大な研究所の一室だったはずだ。だが今いるところはかろうじて雨風がしのげる程度の壁と天井があるだけだ。
俺が眠っている間に何が起こったんだ? ひとつ考えられるとしたら核戦争でも勃発してしまったのではないかということだ。そうすればこの瓦礫だらけの町並みや生き物がいない光景も説明できる。
それにしてもなんということだ。輝く未来を夢見たというのに、実際に来て見れば薄汚れた世界だったとは。こんなとこでどうやって生きていけばいいのか。
いやまて。この世界から生き延びる方法がひとつだけあるじゃないか。俺は機械を操作し、コールドスリープ装置が起動するのを確認すると、中に入り再び眠りに就いた。