てるてるくん
ある日、バラ組ではタンポポ山へピクニックに行くことになりました。
「てるてるくん、明日晴れにしてね」
「お花のかんむりをあげる」
てるてるくんはのきしたにつるされて、ほこらしげにむねをはり、おまじないをつぶやきました。すると、
「おねがいです。あしたは雨にして下さい」
と、たくさんのかえるたちが悲しそうな目で、てるてるくんを見上げています。
「雨をふらせてだって? それは無理だよ」
てるてるくんはかえるたちにいいました。
「でも、明日こそ雨がふらないと、みんな弱って死んでしまいます」
かえるたちはそういうと、泣きながらかえっていきました。
てるてるくんは、バラ組のみんなの笑顔と、かえるたちの悲しそうな顔とを思い浮かべ、ずうっとかんがえ続けました。そして、真夜中になって、心を決めました。
ざーざーざー。次の日は大雨になりました。 バラ組ではみんなはがっかりして教室に集まりました。その時、窓をみたみんなはびっくりしました。
「てるてる君がふれふれぼうずになってる」
てるてるくんは雨を降らせるために、自分で逆さまになったのです。
「なんだい。てるてるくんのうそつき」
「いじわる!」
みんなは、てるてるくんをまどからぽーんとなげすててしまったのです。
ばしゃ。どろんこのみずたまりのなかに、てるてるくんはおちました。
「ごめんね。ばらぐみのみんな……」
てるてるくんがめをとじて、じっと雨にうたれていると、かえるたちがやってきました。
「てるてるくん。ありがとう。ごめんね。ぼくたちのおねがいをきいてもらったために」
かえるたちはてるてるくんをだきおこすと、
「てるてるくんに、ぼくたちおんがえしをしたいんだ」
そういってかえるたちは、てるてるくんを担いでいきました。
つぎの日はとってもいいお天気になりました。ばらぐみのみんなは、ピクニックに出かけました。
山のてっぺんについたとき、かしの木のえだを見て、みんなは叫びました。
「あ、てるてるくんがいる」
そのとき、まわりからかえるたちの楽しそうな歌声が聞こえてきたのです。
「そうか。雨をふらせたのは……」
「ごめんね。てるてるくん」
あたまに花のかんむりをのせてもらったてるてるくんは、てれくさそうにゆれました。