Awtew.2 (e-r) 1
All's well that ends well .
All's wrong that ends wrong .
Which is Her Life well or wrong ?
――You should decide it.
ギシリ、とその場所、病院特有の匂いが染み付いたベッドが、二人分の重さに耐えかねて、悲鳴を漏らす。
目の前には、目の前には、――眼が潤んだ、少女が一人。
「――――っ、なんで……っ」
少年はその一言を発するのにも、苦痛の表情を見せる。
「なんで、じゃないよ。もうここには来ないで。それだけ」
淡々と少女は語る。両手を、体を押さえつけられても、何も動じていないような声。
「だから、それが意味わかんないんだよっ!」
少年はやっとのことで喉奥に溜まった言を吐き出す。
「解らないなら……ボクたちはそれまでの関係だった、ってことだよ」
「なっ」
少年はその言葉に何かが崩れ、何かが切れる音を聞いた。
少女を押さえる力が強くなる。ベッドは更に悲鳴を上げた。
「……犯すの?」
今度こそ、少年は声を失った。
確かにこの光景は、少年が少女を無理やり押さえつけているように見える。
少女は冷めた眼を少年に向ける。
「別にいいよ。どうせ子供が出来ないこの体じゃ何度やっても何も残らないし、足だってもう動かないから好きなようにできるよ?」
少女はくすりと笑みを浮かべる。
「……誘ってるのか?」
「そーかも」
少年の理性は囁く。人の尊厳がどーたらこーたら。
少年の野性は叫ぶ。犯してしまえ、このまま関係が終わるのなら。
少女の体が目に映る。
長い入院生活で落ちた筋肉がそのまま現れてしまう華奢な体。
日光を浴びようとしないため、銀竜草のような純白に近い肌。
長い黒髪は、病室という特殊な空間により余計に奇麗に映える。ベッドも、部屋も、入院服も白い。
そして、ひと目で全てを奪われた、その可愛らしい顔。
それが、自分の支配下にあり、自分の真下で誘っている。
「……くっ」
少年は、唇を噛みしめた。味のない蛋白質を噛む音がする。口内に鉄錆の味が弾けた。痛みなど、感じなかった。
止まらない、衝動。
そして、そのまま――――
少年は少女の病室から去る。静かに、ドアが閉まった。
All's wrong that ends wrong .
Which is Her Life well or wrong ?
――You should decide it.
ギシリ、とその場所、病院特有の匂いが染み付いたベッドが、二人分の重さに耐えかねて、悲鳴を漏らす。
目の前には、目の前には、――眼が潤んだ、少女が一人。
「――――っ、なんで……っ」
少年はその一言を発するのにも、苦痛の表情を見せる。
「なんで、じゃないよ。もうここには来ないで。それだけ」
淡々と少女は語る。両手を、体を押さえつけられても、何も動じていないような声。
「だから、それが意味わかんないんだよっ!」
少年はやっとのことで喉奥に溜まった言を吐き出す。
「解らないなら……ボクたちはそれまでの関係だった、ってことだよ」
「なっ」
少年はその言葉に何かが崩れ、何かが切れる音を聞いた。
少女を押さえる力が強くなる。ベッドは更に悲鳴を上げた。
「……犯すの?」
今度こそ、少年は声を失った。
確かにこの光景は、少年が少女を無理やり押さえつけているように見える。
少女は冷めた眼を少年に向ける。
「別にいいよ。どうせ子供が出来ないこの体じゃ何度やっても何も残らないし、足だってもう動かないから好きなようにできるよ?」
少女はくすりと笑みを浮かべる。
「……誘ってるのか?」
「そーかも」
少年の理性は囁く。人の尊厳がどーたらこーたら。
少年の野性は叫ぶ。犯してしまえ、このまま関係が終わるのなら。
少女の体が目に映る。
長い入院生活で落ちた筋肉がそのまま現れてしまう華奢な体。
日光を浴びようとしないため、銀竜草のような純白に近い肌。
長い黒髪は、病室という特殊な空間により余計に奇麗に映える。ベッドも、部屋も、入院服も白い。
そして、ひと目で全てを奪われた、その可愛らしい顔。
それが、自分の支配下にあり、自分の真下で誘っている。
「……くっ」
少年は、唇を噛みしめた。味のない蛋白質を噛む音がする。口内に鉄錆の味が弾けた。痛みなど、感じなかった。
止まらない、衝動。
そして、そのまま――――
少年は少女の病室から去る。静かに、ドアが閉まった。
作品名:Awtew.2 (e-r) 1 作家名:犬ガオ