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涼の風吹く放課後 お試し版

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第三章/情交のスレッショルド



 柔道部の体験入部でさんざんな目にあった翌日、他の運動部を探そうと回った俺と涼に、絶望的な現実がつきつけられた。どこの運動部に行っても入部はおろか見学すら断られるのだ。
「お前ら、例の秋月と立花だろ? 悪いがうちには入部させられん。」
 陸上部ではいきなりこのようにはっきりと言われたので、俺も思わず聞き返した。
「どういうことですか? 俺たちが何か問題あるんですか?」
「ああ。柔道部の連中がな、お前たちを入れた部を潰しにかけるって。学校中の評判だ。」
「そ、そんなことって理不尽じゃないですか!? 柔道部の主将に聞いてみてくださいよ。」
「いくら主将が問題ないと言っていても、抑えのきかない奴ってのがいるんだよ。一人でも危険な奴ってのが。わかってくれ。」
「……。」
 確かにあの原田先輩に暴れられたら、普通の運動部の部員では太刀打ちできないだろう。逆らうくらいなら、新入生を見殺しにしたほうがマシという判断も、理屈の上ではわかる。だけど、そんなのはあんまりだ。涼は、俺の横で悔しそうに唇を噛んでいる。そんな涼を見て、つい、余計な一言を言ってしまう。
「根性、ないんですね。」
「……、何を言われても仕方ない。お前らのことより、今うちにいる部員を守らなきゃならんのでな。悪口なら、いくらでも言え。」
 そこまで言われると、もう何も言えなくなってしまった。

 結局、どこにも入れてもらえる部活がなく、昨日と同様、二人して下校するしかなかった。昨日と同様、涼の言葉数は少なかった。
「まぁ、部活がなかったらなかったで、何か他にやれること探そうぜ。」
 あくまで能天気を装ってそう言うと、涼はふっと思い出したかのような顔をして答えた。
「勇、今日はまだ時間ある?」
「あ、ああ。いいよ。付き合えるけど、どうした?」
「ちょっと、見てもらおうかと思って。こっちに来て。」
 そう言って涼は、涼の家にもうかなり近づいてきたあたりの角を、涼の家に向かう道とは違う方向に曲がり、そのまま俺を先導した。辿り着いた先は、そこそこの大きさの神社だった。このあたりの、氏神様といった風情である。
 境内に入ると、人影はなかった。涼は、本殿とは離れた境内の隅のほうにある、小さな社のほうに向かった。
「ここで待ってて。ちょっと用意してくるから。」
 そう言って涼は俺を待たせて、神社から去って行った。