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掌の小説

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 そのとき、この遠出が何を意味していたのか、彼は今さらのように急激に理解した。恩師は自分を励まそうとしていたのだった。絶望のさ中にある自分を立ち直らせようと、恩師は自分をここまで連れてきたのだ。その熱い気持ちに彼は強く打たれた。だが、彼はその気持ちに応えられる心の状態ではなく、ただ厚意のみを胸の底の底の方まで染み渡らせた。そうだ、俺は若い。少なくとも、挫折を乗り越え、再び青春を歌えるようになる道筋にまで乗れていない分、俺は若いのだ。空が痛いほど晴れていた。雲が痛いほど光っていた。
作品名:掌の小説 作家名:Beamte