依存
昨日母親が久々に電話してきたと思ったら、そんな内容であった。
朱美とは私の妹のことである。
私は「そんな馬鹿な。」と言った。
仕事にかまけてろくに帰らない私への当てつけなのか?
朱美が隠遁…。
有り得ない。
だってあのこは昔っから要領のよいおバカちゃんで、日々ただなんとなく生きてきたのだ。
器用貧乏でプライドが高いくせに、小心者の私と真逆の女の子。
…そんな朱美が今更隠遁?
俗世もなにもあのこ本人が俗世みたいなもんじゃない。
どうせいつもの気まぐれなのだ。
すぐ人に甘えたがる。
誰かに引き戻して欲しいだけでしょ。
…そんなこと考えながら私は朱美の隠遁する山に登っている。
いつだって迎えに行くのは私なんだから。まったく。