ついのべ比較「金平糖」
月と金星が接近すると聞いて、空を見上げた。西の空に浮かんだ三日月は、な
んだかお皿のようだ。そのすぐ上には輝く金星。三日月のお皿から飛び出した金
平糖に見えて、なんだか可愛い。
そんなことを考えたせいで、次の日、金平糖を買ってしまった。いったい何年
ぶりだろう? 駄菓子なのにおしゃれな缶に詰まっているせいで、なんだか特別
なものみたいだ。
小皿にいくつか移そうとしたら、勢いあまってひとつぶ転がり出てしまった。
せっかく澄まし顔をしてもおさまりきれないこのひとつぶは、私の中から飛び出
しそうなあなたへの想いみたいだ。
そんなことを思ってしまった自分が恥ずかしくなって、急いでつまんで口の中
に放り込んだ。甘くて甘くて、とことん甘い。
コーヒーを一口含むと、今度は苦くて甘くて。
なんだか切ないため息が出たから自分にびっくりした。
ああ、私、恋しちゃってるなぁ。
-------------------------------------
【ついのべ投稿したものはこちら】
買ってきた金平糖を小皿にあける。勢いあまって転がり出したひとつぶは、私の中
におさまりきれずにあなたへと飛び出そうとする想いみたいだ。つまんで口の中に
放り込む。甘さ味わいながら、コーヒーを口にした。ああ、私、恋しちゃってるな
ぁ。甘くて苦くて切ないや。
-------------------------------------
作品名:ついのべ比較「金平糖」 作家名:よしのちほ