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だれか姉ちゃんを止めてくれ!

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朝とは往々にして騒がしいものだ。一日が始まるスタートとしてはそれくらいの方が良いのかも知れない、と我が家の喧騒を耳にしながら俺は朝食を頬張る。
「涼君、私の制服何処にあるか知らない?」
「制服は姉ちゃんの机の上に畳んで……って何で姉ちゃん裸なんだよ!!」
 姉is裸体。全裸で部屋から飛び出してきた姉へ口に含んでいた白米を噴射した。朝起きてパジャマを脱ぎ制服に着替える、それだけなのに何故この人は一糸纏わぬ姿なのだろうか。
「起きたら結構寝汗かいてて~、それでシャワーを浴びようと思ったから。それで裸になった後着替えを用意しようとしたら制服が無くてね~♪」
「部屋で全裸になるな!! 普通は脱衣所で脱ぐだろ!!」
 あぁ、そっか。納得した姉ちゃんはそのまま浴室へと向かっていく。軽快な足取りに合わせてたわわに実った二つの果実が無防備にぽよぽよと揺れるものだから思わず俺は目を背けた。それを目ざとく見つけた姉がニヤリと笑う。
「おんや、まさかお姉ちゃんの裸で欲情しちゃった?」
「わぁー!! 姉ちゃん、何か当たってる。当たってるって!!」
 後ろから抱きつかれ、背中に柔らかな感触が伝わる。
「何かじゃないわ。乳房よ!」
「言うなよ!! わかってるよ、そんぐらい!
さっさとシャワー浴びて来いよ!」
 クネクネと気味悪く動く姉ちゃんを浴室に叩き込んだ。シャワーの水音が聞こえてきたところで思わず溜息を一つこぼした。
 今までのやり取りから判るように、うちの姉、石動棗は何処かおかしい。まぁ一言で言うなら恥じらいが無い。あとエロい事が大好き、色欲が半端無い。一度スイッチが入ると男女問わず襲いかかるのだ。まぁ基本的に変人なのでそれ以外にも問題はあるのだが。そんな姉を止められるのは俺を含めても三人しかいない。
 そんな事を考えていると浴室のドアが急に開いた。
「忘れてた。涼君、部屋から服持ってきてー。あとブラとパンツも」
 浴室から飛び出した姉は濡れた身体のままそう告げる。今度は俺に配慮してくれたのか、ちゃんと胸を隠していた。グラビアアイドルによくある両掌で隠す、俗に言う手ブラというやつだ。――想像して頂けただろうか。つまり……
「下を隠せ!!」
 普通隠すんなら下だろ、それに両手とも胸っておかしいだろ。そんな俺のツッコミをニヤニヤと眺めている姉ちゃん。絶対にワザとだ。
「ったく……姉ちゃん下着は適当なヤツで良いのか?」
「ベッドのとこに置いてあるからそれ持ってきて。行けばわかると思うから」 
 俺は姉の部屋へ入ると言われた通りベッドに近寄った。そこにあったのは――所々透けた黒色のブラとパンツだった。セクシーランジェリー。高校生が身につけるような派手すぎる代物だ。
「駄目です! こんな派手な下着は許しません!!」
 用意してあった下着をタンスに戻し、代わりにピンクの可愛らしい色合いの物を渡した。
「えー、これじゃエロくないー」
「学校に行くのにエロさはいらないから!」
 全く、学校にあんなの着ていってどうするんだ。納得がいかないといった様子の姉に制服と下着を押しつける。
その時、携帯のアラーム音が鳴った。もう家を出なければ学校に間に合わない時間になってしまったようだ。
「姉ちゃん、もう出ないと間に合わないよ。遅刻しちゃうって」
「え、まだお姉ちゃんご飯食べてないのに!!」
 焦ってももう遅い。元々起きた時間が遅かったのにシャワーまで浴びて、本来ならそれだけでも時間的にギリギリだったのだ。そこに朝からあのハプニングだ。
 俺は先に支度を整え玄関で待つ。本当は先に行ってしまいたいところなのだが、家の施錠は俺の役目だからだ。何度か姉に任せたこともあったが、その度に鍵を紛失した。なので鍵は常に俺が管理することになっている。
「おまたせ!」
 急いで着替えを済ませた姉ちゃんが鞄と謎のビニール袋を持って現れた。
「何それ?」
「ごはん!!」
 やっぱり朝ごはんは食べないと力が出ないよね、と満面の笑みでごはんが入っているらしいビニール袋を掲げた。どう見ても見た目残飯にしか思えないその袋に愛おしそうに頬ずりする姉に溜息が出る。
「まぁいいや、それじゃ行こうか」
「了解であります」
 家を出て戸締まりをする。時間を確認するとなんとかまだ走らなくても間に合う時間だった。