ストイコビッチのキックフェイント(笠井りょう)
何かを言い表したい時彼らにはいつもぴったりな言葉というものが見える。聴こえている。彼らは周りの人たちよりもちょっと敏感で、ちょうどいい広さの部屋的な何かの在処を感じられる。特異体質。環境に不釣り合いな大きさの力。病気なのだ。治療法は安静にして回復を待つこと。特効薬は十分な時間。溺れない程度の性交も症状緩和に効き目がある。日本だと夕暮れ時の男子中学生か深夜の女子高生に多い。けどほとんど誰も気づかない。本人にもわからないうちに発症して、誰も知らないうちに治癒してしまう。
作品名:ストイコビッチのキックフェイント(笠井りょう) 作家名:早稲田文芸会