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投稿練習でリアル高二病さらし

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「俺の手って、熱いらしいから」


ー 花が香る前に −

しんしんと雪が降ります。
動けないでいるかわいそうな女の子が今にも死にそうになっています。
通りがかる人なんていません。
もし人通りがあれば、それでもかわいそうに思う人が1人ぐらいいて、女の子を助けてくれてくれるかもしれないのに、不運なことです。

.゜。゜.

柊の花ようなものがちらついています。
ぼろそうな毛布をマントのように羽織った少年が歩いています。
両手には手袋をして、左手に長い棒を持っています。
かれも一人きりで足取りは寂しそうです。もし一緒に歩く人がいたなら、もう少ししっかりと歩けるかもしれないのに、彼にその相手がいません。
.゜。゜゜。゜。
細かい埃と空気が凍って落ちてきます。
胸が冷たいのかからだの冷たさなのかも分からないで震えている娘がいます。
暖かなものなんてありません。
服をいくら着込んでも隙間風が入って来るように、暖かそうな服の衿を合わせも寒いのです。
もし隙間なく暖めてくれれる場所か、人があったならば彼女はそうも震えることはなかったかもしれないのに、残念な話です。

。゜。。゜・。

少年は娘の前を通り過ぎました。
娘は少年が通ったことに気づきませんでした。
少年は気づきましたが、彼女が温かそうな格好をしているので大丈夫だと思い込みました。
少年は痛む足を強引に進め、肺から力強く息を押し出します。
再び取り込まれた空気が肺の細胞の1つ1つまで凍らせそうな錯覚がしましたが、それでも呼吸を続けないともっと苦しくなるので、少年は息をし続けます。
少年は歩き続けますが、次第に目の前が真っ白になっていきました。
吹雪いているのかそれ以外の問題なのか少年には良く分かりません。
そもそもなぜこの寒い場所を歩いているのか、もう考えることもできていません。
少年は少女の前を通りがかりました。
少年に少女は見えていません。
少女は少しためらいました。けれど少年を目で追いながら大丈夫なのかと心の中で問いかけました。
とても口は開けません。
開いた瞬間口の中まで凍ってしまいそうな気がしたからです。
すると少年の重たい歩みが止まりました。
力なくその場に座り込み、深いため息を何度かつきます。
白い息が、掠れて、見えなくなりました。
少女はためらいながらも少年に近づきました。
近づこうとしましたが、途中でもう動けなくなりました。
そこで少年が少女に気づきました。
「だいじょうぶ?」
少年が少女に近づいてきて尋ねました。雪のように澄んだ白目に深緑の光彩がよく映えています。
少女はわけも分からずうなずきました。
本当は全然、大丈夫だとは思ってません。
少女の瞳は踏み均された道のように少し曇っています。
まるで不安が覆いかぶさっているように。
「寒いだろ」
少年はそういって、自分の手袋の片方と懐炉を少女に渡しました。
少女が懐炉をかかえてしばらくして、その瞳の不安が雪解けのように、少しだけだけれど消えました、立ち退くと少年は思い出して言いました。
「向こうにも人がいたんだ。動けないで居る人が。あとでそれをその人に貸してもらってもいいかな」
少女は名残惜しいけれどどうしてだかその言葉に逆らえないと感じてうなずきました。
立ち上がるとき少年は手を差し伸べました。
そして手袋をしていない少女の左手を握り締め
「熱くない?」
尋ねます。
「あったかい・・・」
ぴりぴりと感じなくもないけれど、手を離されるのが怖くて少女は言いました。
少年と少女は歩き出しました。

少年はもと来た道をたどって。
少女は見たことのない道を進んで。

少年と少女は娘を見つけました。
娘は少年も少女も見つけれていません。
少年はなんと言うか悩んでいると少女が代わりに言います。
「さむくない?」
娘が顔を上げました。
その頬は白樺のように乾いています。
少女は少年に目配せしてから手を離し、抱いていた懐炉を娘にだかせました。
娘から弱いため息が漏れます。
それから少年が近づいてきて、手袋を片方差し出しました。
「少しはましになると思うから」
娘は手袋を受け取りかけて目を背けました。
けれど少し見えた娘の手は、真っ赤で手を伸ばしただけでも震えていました。
「だいじょうぶ」
少女が言いました。
何が、と聞かれると少女は答えられなかったでしょう。
けれど、少女が娘の色のない瞳を捕らえて、しばらくで娘の瞳は空に似た灰色の悲しい色を写しました。
「寒いだろ?」
少年がもう一度手袋を差し出すと、娘はそれを受け取りました。
素手の右手を握り締め懐炉を抱き込んで娘はしばらくじっとしています。
少年は少女を自分の毛布のマントの中に入れてやります。
娘が顔を上げると、少年は手を差し伸べました。
「痛くない?ぼくの手って、熱いらしいから」
娘は首を振ります。
熱いのかどうかも分からないけれど、この手を離したくないと強く思いました。

それから懐炉を2つにわけ、娘と少女に持たせました。
「裸手(すで)でつらくない?」
娘が左手で温磁石を抱えながら言います。
「あったかいのいいの?」
少女が右腕で温もりを抱きしめて言いました。
「ぼくの手は熱いらしいけど、一人じゃ分からないんだ。二人の冷たい手があるから、俺は俺の手があったかいって分かる。あったかいって分かったら、必要ないよ」
少年は笑みを浮かべて言った。
「いいの?」
少女と娘の声が重なった。
「いいよ」

舞い落ちる花に香りはありません。
ここに花が咲くまでには彼らはそこにいられないでしょう。
けれど、香る花が咲く前に彼らはここから立ち去ることがでいました。
娘が衿を掴んでいた暖かそうな服は少女が羽織っています。
娘はそれを脱いでもまだなんとか寒さに耐えられました。
少年は持っていた長い棒のような剣ををズボンのベルトに差し込んで、両手を冷え切った手と繋いでいます。
2人を連れて行かなければならないと思うと、少年の足取りは確かになっていました。