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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』[小説コミュニティ]

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勇者ノベリットの冒険

かざぐるま}
かざぐるま
勇者は村を出た。装備も魔法もまだ持っていない。とりあえず北の森に向かってノベリットは歩き出した。そこに突然!!
2013-07-11 19:30:04

コメント (190)

匿川 名  2020-03-22 22:10
「そんなわけでダンジョンはお前たち行っといで・・・わしはセンター最前列・・・ウヒヒ」
「え、ヴァンダール様。私も行くんですかのべ?」
ノベリンがすかさずお前たちの『たち』に引っかかって尋ね返した!
「そりゃそうじゃ。そっちのマナベくん・・・じゃないわい。勇者は死にかけておるんじゃろ?それならば妖精がそばについて魂をここにとどめておかなければの」
ヴァンダール婆はさも当たり前のようにそう言った!
「え、そうなの?!」
ノベリットは慌てて尋ね返した!
「はい、仕様です(キッパリ)」
一連の流れを聞いて、ノベリンはあからさまに『え-』といわんばかりの不満顔だ!
「でも・・・仕様なら仕方がないよね?」
ノベリットはノベリンにそう言った!
がっくりと見た目にも申し訳なるように肩を落として、ノベリンは「へーい」と返事をし、西へと向かってふらふらと飛び始めた!
ガンスリンガー、じゃなかったノベリットはその後を追った!

匿川 名  2020-03-22 22:08
「・・・若いな、ヴァンダール婆」
「だまらっしゃい!」
ぼそりと呟いたノベリットをヴァンダール婆は一喝した!
そして何もなかったかのようにもう一度懐をごそごそ探ると、今度は茶色の小袋を取り出した!
「なになに・・・『ハイパー除菌剤ドゥ・ミェスト』?」
「根こそぎです!」
薬の名前を読んだノベリットに小袋を突きつけながらヴァンダール婆はそう言った!
「いや、ヴァンダール様。さすがに根こそぎはまずいんじゃ・・・」
「いんや、いいのじゃ!悪い成分だけ根こそぎなんじゃ!わしがそう言ったらそうなんじゃわーい!」
なんだかえらく信憑性が乏しいが、やるしかないのか?
ノベリンとノベリットは顔を見合わせてア○リカ人がやるように肩をすくめた!
「それでヴァンダール様、盆栽樹の根はどこにのべ・・・?」
どうにか気を取り直したノベリンがなけなしの敬意を込めてそう尋ねた!
「それがな、西の森の奥にある『妖しいダンジョンZZR』の深奥というところまでわしは突き止めたのじゃ!」
「古いカワ○キのバイクみたいな名前ですね」
ノベリットのメタなツッコミにノベリンがジト目で返した!
「どうしてヴァンダール様はそこまで分かっていて行かれなかったんですかのべ?」
ノベリンが尋ねると、ヴァンダール婆は遠い目をして一枚のお札を取り出した!
「・・・?それは?」
尋ねるノベリンにふうとため息をつきヴァンダール婆は項垂れた

「『純令Ⅱ(じゅんれーつー)』のプラチナチケットじゃ・・・よりにもよって、このタイミングで当選!」

それを聞いて、ノベリットとノベリンはズコーと盛大にずっこけた!

匿川 名  2020-03-22 21:57
薄れゆく意識を振り絞り、ゆらゆらとノベリットは立ち上がった。
「・・・おやっさん、テンカウント、いや、俺のパンツはそんなに簡単に諦めていいもんじゃねえ・・・」
「いつまで引きずってるのっ!」
そうだ、いい加減しつこいぞノベリット!
「しょうがないわねえ・・・今のパンツはあとで私がなんとかしてあげるからっ!」
ノベリンが呆れたようにそう言った!
「絶対だぞ。約束だぞ」
駄々っ子のようにノベリットが念を押すのでノベリンは仕方なく大きくうなずいた!
その様子を眺めていたのはヴァンダール婆だ。
「しかし本当に『ときめきディスナイツ』のマナベくんそっくり・・・」
「ヴァンダール様、もうそのネタもいいですから!のべ!」
なんだか敬語がやけっぱちだぞノベリン!
「ウォッホン!それじゃ気を取り直してお主にお願い事じゃ。この花粉をどうにかするには、盆栽樹の根に魔法の粉をかける必要がある!しかして粉は、ほら、ここにあるのじゃ!」
ヴァンダール婆はそう言うと懐からごそごそと紫の妖しい小袋を取り出した!
何やら薬の名前が書かれた紙が張っているぞ?
「ええと・・・『スーパー媚薬うっふんX』?」
名前を読み上げたノベリンの目の前で、ヴァンダール婆は老婆とはとても思えない素早い動作でさっさと懐に薬をしまい直した!

退会ユーザー  2020-03-22 21:07
「この妖精郷は、いや、妖精界は今一大事なのじゃ」
「一大事?」
「うむ。妖精界を支えるという世界の盆栽樹がおかしくなってしまってのう」
「盆栽?世界の?!!何それ!?」
 ノベリットは口を大きく開けていた。
「盆栽樹をいつも手入れしている植木職人も手が付けられず、葉も枝も伸び放題!妖精界は今、盆栽樹の花粉で大変なことになっておるのじゃ。多すぎる花粉は毒なんじゃ。特に今この時期、春先からが危険じゃ。目が痒くなるは、鼻水が止まらないは、鼻が詰まるはで、どこの郷も外から一歩も出られん。じゃから、わしが妖精界を巡り、障壁を張り巡らす旅に出ておったのじゃ。そして、一仕事終えて今し方帰ってきたら、お主がいたという訳じゃ」
「ただの花粉症じゃん!」
「ノベリットのお馬鹿!!」
 ノベリンの見事なアッパーがノベリットの顎を捉えた。ノベリットはマウスピースを吐き出しダウン!
「障壁を巡らすっていうことは、春の花粉を私たち妖精はもらえないということ!春の訪れと共に盆栽樹の有難い花粉を受けて、一年を過ごすのよ。それができないということは、年々妖精は弱っていってしまうの!死者もでているのよ。学校にも行けない子供も多いの!一大事も一大事。パンツどころじゃないんだから!」
 ノベリットは仰向けになって、白目を向きかけている。
「そこでお主の出番というわけじゃ!」
「早く立ちなさいよ!カウント取るわよ!?」
 しかし、ノベリットはまだ立てない。どうする、ノベリット?
 立て、立つんだノベリット!

退会ユーザー  2020-03-22 20:33
がーん!!
し、死相が出ている……?死んだばかりなのに?
大きく肩を落としたノベリットは、深く項垂れ肩を震わせた。
「ノ、ノベリット……?ヴァンダール様!」
 ノベリンはノベリットの周りを飛び回り、ヴァンダール婆に目をやるも、ヴァンダールの顔色は険しい。
「う、うく、うふふ、うひひ……」
「うひひ?」
 不安な様子でノベリットの顔を覗くと、ノベリットは大きく仰け反って高らかに笑い出した。
「そりゃ~、そうだよ、宏美ちゃん!だって、おれ、今、死んでるんだから」
「あっ、そういえばそうだね!なーんだ」
 ノベリンは胸を撫で下ろしていた。
「なぬ?死んでいるじゃと?それならそれで、伝説の勇者ともあろうものが、嘆かわしい限りじゃ……」
「そんなこと言われても……。でもさ、郷に障壁ってどういうこと?この妖精郷にも何かあるってこと?」
 ヴァンダールとノベリンは、互いに大きく息を吐き出した。

匿川 名  2020-03-22 19:35
「どうも、松本・ヴァンダール=宏美。136歳です」
老女はえらくキチンとそう名乗ってスカートの端を両手でちょいとつまむと、深々とお辞儀をした!
「ヴァンダール様!おやめくださいのべ!」
「あ、ほんとうにのべが敬語だ」
ノベリットのツッコミは完全に無視され、代わりにノベリンからステッキで頭を一度ポカンと叩かれた!
「久しぶりに妖精郷にやって来ての・・・。すると何じゃ、面白い顔があったんで様子を見ようと思ったんじゃわい」
「しゃべりがテキトーですね、って、あいたっ!」
鼻をほじりながらそう言ったノベリットの頭にさらにノベリンのステッキが追い打ちをかける!
「こ、この方は妖精大女王の恩人のべ!伝説の魔法使いでこの妖精郷を護る障壁を築いたありがた~いお方だのべ!」
「え、そうなの?!」
「ほんとうはもっと早く顔を出したかったんじゃがのう・・・。自分で作った障壁だったんじゃが、年齢制限がアダになっての。20歳以上は入れなくしておいたんじゃ」
「え」
ノベリットがポカンとする。

「そう、そして今のわしは136歳・・・還暦もダブルで経過!136歳から120歳を引いて、宏美はまだ、ピチピチの16歳なのじゃ!!!」

「あ、あは、あは、あはは」
なんだか乾いた笑いがノベリットの喉から絞り出された!
「しかしてお主・・・似ておる。なんとも伝説の勇者にそっくりじゃ!」
そう言うと松本宏美、もとい、ヴァンダール婆は細い枯れ枝のような指をそっとノベリットの頬に伸ばした。
そしてちょこんと触れると、なんだか妙に頬を赤く染めた!
「な、なに?!」
言いながら何となく腰が引けているぞ、ノベリット!
「ほんとうにあの古文書のとおり・・・わしが若い頃読みつつ焦がれたあの大長編ラブ小説の・・・」
「今!ラブ小説って言った!言った!」
「それはさておき」
「さておくんかーい!」
妙な急展開にノベリットがツッコミの絶叫を放った!

「ぬしが英雄かただのたわけか試そうと思っておったのじゃが・・・それより何より、まずお前さん・・・なんだか濃い死相が出ておるのう・・・」

え、とノベリットの表情が凍った!
な、何を言い出しちゃうのこのお婆ちゃんは?!

退会ユーザー  2020-03-21 23:00
「ヒィーッヒッ、ヒッ。あの小僧、ああ見えて中々どうして、肝が据わっておるのか、ただのたわけ者なのか?どれ……」
 疑わしい老女は、笹舟の上でゆっくりと立ち上がった。
「キャー!!落ちちゃうーー」
「ど、ど、ど、どうしよう~、オロオロ」
 瀑布にあわや消え失せた思われた老女は、後期高齢医療制度など必要ないといわんばかりの跳躍をみせた!
「ホホーー!!」
 ババァは、いや、老女はくるくる~と宙返りをすると、ノベリットたちの頭上を飛び越して、川岸の一本の木にガサガサ~と突っ込んでいった。
「あのババァ、すげぇ……あいたっ」
 感心するノベリットを、ノベリンがステッキでぶっ刺した。
「この大たわけもの!助けに行くわよ!」
 老女が突っ込んだ木の下まで行くと、老女は木の枝に襟を引っ掛けてぶら下がっていた。
「これ!早く助けんかい!」と老女は両手をばたつかせていた。
 なんとか木の上から救出したノベリットたちの前で、老女は一つ咳払いし、にんまりと笑みを作った。
「き、きもちわる……」と言いかけて、ノベリンに睨まれたため、ノベリットは口笛を吹いてごまかしていた。
「あっ!あなた様は!!?」
 老女の姿をまじまじと見据えたノベリン。
 この老女の正体はーー!!?

匿川 名  2020-03-21 21:48
「ふ・・・見切った!」
ノベリットはそうささやき、目をキラリと光らせた!
でも、その間にもおばあさんはどんどん下流へ行っちゃうよ?!
「助けないの?!ねえ、ほんとうに!」
ノベリンがノベリットの頭上をぐるぐると舞いながら焦った声を投げかけた!
しかし、ノベリットは人差し指を一本立てると顔の前でチッチと振って見せた。
「アレは罠だ」
「な、何を言ってるの!」
仰天するノベリンに向け、ノベリットは振っていた人差し指をビシイ!と突きつけた!

「お前の姿を今一度顧みるがいい・・・。そう・・・ここは「妖精郷」!オトナは入れないはず、従って!あの老婆は偽物!!!」

冴え渡る推理を披露したノベリットの後頭部にノベリンのキレの良いムーンサルト・キックが炸裂した!
「ぬお!いってええ!!!」
「バカ!どう見てもあのお婆さんは後期高齢者でしょ!還暦を迎えると年齢はゼロリセットよ!おまけにあんな笹舟に乗っていてニコニコできるんだから危機感を感じにくいのかも!」
「おまえ、ファンタジーで後期高齢者て。還暦て」
「ああ、もう!」
ノベリンはそう言い捨てるとヒュンと風を切りお婆さんを追った!
「え、おま、ちょっと」
その様子に慌ててノベリットも後に続く!
どうにかふたりがお婆さんに追いつきそうになったその時、どうどうという音が耳に響いた。
「この音は・・・まさか!」
そう、そのまさかなのです。
なんと!川の果ては唐突に瀑布だった!
「た、タキー!!!」
慌てて絶叫するノベリン!
「みつはーーー?!?!」
何となく合わせて絶叫するノベリット!でも何も入れ替わったりはしていないぞ?!?!
ふたりとお婆さんと滝までの距離は、笹舟のノリにノった速度からもはや絶望的だ!
さあ、どうするノベリット!

退会ユーザー  2020-03-21 19:03
「ノベリン、ちょっと、タンマタンマ!」
「もう、な~に~?」
 飛び去りかけたノベリンが首を捻ると、ノベリットが川上を指さして叫んでいた。見れば、川上からどんぶらこ~、どんぶらこ~と大きなおばあさんが、笹舟に揺られて流れてきた。
「ババアが!ババアが流れてきた!」
 ノベリンはトンボの羽なのに、隼のように滑空してノベリットの頭にステッキを突き刺した!
「お年寄りに向かって、なんて口の利き方!勇者のくせに」
「あいたっ!だって、ババアが!ああー……」
 お婆さんは笹舟の上でお茶を飲みながら、ノベリットににこりと笑顔を向けていた。そして、そのまま川下へと流されていった。
 ノベリンはもう一度ノベリットの頭を刺した。
「早く助けないと駄目でしょう!」
「え?助けて欲しそうに見えた?お茶飲んでたぜ?」
「笹舟に乗って流されてるなんておかしいでしょうに!」
「でも、どうやって助けるの?」
「勇者なんだから、飛び込んで助けるとか……、ああ、もう!」
「おれ、ちょっとカナヅチで」
 お婆さんはどんどん川下へと流されて行ってしまう。
 さあ、どうする?ノベリット!

匿川 名  2020-03-21 15:43
「・・・ゴワゴワする」
自分の股間を見ながら、雨に濡れた犬のような哀れな表情でノベリットはそう言った!
「だって、パンツなしでズボンはいてるんだから当たり前じゃない!」
ノベリンはやれやれといったふうに肩をすくめた!
「ええと、それで西の森だったっけ」
ノベリットはそう呟くと目を細めてあたりを見た!
「そうよ?」
ノベリンがさも当たり前のようにそう返した。
それに対しノベリットは妙にあたりをキョロキョロし続けている。

・・・まさか・・・

「・・・あの、申し訳ありませんが西ってドッチですかねえ?」
ぶほ、とまさかのひと言にノベリンが咳き込んだ!
「あのねえ、あなた冒険者でしょ?!」
「や、そうなんだけどコンパスもなくしたし、お日様は出てないし、あたりにはいい感じの木の年輪もないしではっはっは」
「アホらしすぎて返す言葉もないわ・・・」
ため息交じりにノベリンはそう言うと、ふわりと舞い上がりあたりを見た。
そして、ノベリットの右前の方にぴゅんと滑空し、ぴっとその先を指さし示した!
「あっち。じゃ、そういうわけで私帰るわ」
そう言うとノベリンは手をひらひらと振って、ノベリットを残して飛び去ろうとした!
やばい!このままじゃまたソロプレイに逆戻りだ!
さてどうする、ノベリット!

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