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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』[小説コミュニティ]

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勇者ノベリットの冒険

かざぐるま}
かざぐるま
勇者は村を出た。装備も魔法もまだ持っていない。とりあえず北の森に向かってノベリットは歩き出した。そこに突然!!
2013-07-11 19:30:04

コメント (190)

匿川 名  2016-05-07 08:45
「姉は、昔・・・兄だったんです」
マナは小さな声ながら、はっきりとそう呟いた!
「子供の頃から自分の性別に違和感を感じていたそうです。それに両親の手伝いをする私たちを見て、漠然と何かを感じていたと言っていました。そして兄が16歳になったある日、置き手紙を残して兄はいずこかへ去ったのです・・・」
「わんわんわお?(その手紙には、なんと?)」
カイザーがマナにそっと尋ねた!

「お父さんお母さん御免なさい。でも、止まれぬ事情だとお察し下さい。私は私の願いを叶える魔法使いを捜す旅に出ます。そして、

  『私もいつか、立派な看板娘になります』

と・・・」

「そ、そうか・・・それは大変だな」
ノベリットは辛うじてそう呟いた!

(はて・・・女剣士の噂・・・そう言えば聞いたことがあったな)
カイザーはその会話から何かを思い巡らせている!
(・・・屈強な女剣士・・・貴奴の配下に居たと聞く・・・名前は忘れたが、確かその剣技は体躯に似合わず極めて繊細、水中を泳ぐ魚に向かえば一振り、瞬きの間に三枚におろしてみせるとか。マナの兄が願いを叶えるために『魔法使い』を求めたとするのならば・・・あるいは・・・真逆・・・)

カイザーが何気にそんな不穏なことを考えている間にも、マナのお話は続く!

「その兄から、ある時私方に手紙が届きました。その中で、兄は自分が既に『姉』になったということ、偉大な魔法使いの元で働いているということ、それに加えてある人と・・・恋仲になっているということを伝えてきました」
「ある人」
ノベリットがオウム返し的に呟いた!
ところが、そんなノベリットをマナは再度睨み付けて、

「それが、この人なんです」

と告げた!
って、マジかっ!マジなのかノベリット?!?!?!?!



匿川 名  2016-05-04 23:51
「私の両親は小料理屋を営んでいました。私とカナはそこでお手伝いをしていたんです」
マナはこの場面の最終更新から実に10ヶ月後、ついに語り始めた!
「ほう、小料理屋か」
アニエスはそう呟いた!
「わんわおーん?(旨かったのか?料理は)」
カイザーの問いにマナはそっと首を横に振った。
「・・・味はおよそ壊滅的でした。身内の私ですら『なんでこれで営業しているんだろう』って神経を疑うレベルです」
その淡々とした答えにカイザーは一度ぶるっと身震いをした!
「でもたったひとつだけ『絶品』と言える料理がありました。それが母が作る『だし巻き卵』です。お客さんはみんなだし巻き卵を食べていきました。だけどそこには問題があったんです」
「それは?」
アニエスは眉間に皺を寄せてマナに尋ねた!
「私のいた所では卵は高級品で、採算が取れなかったんです。だから経営は厳しかったようです」
カイザーはその答えに対し、ため息をつくかのように項垂れた!
「それで、そのだし巻き卵がこれとどう繋がるんだ?」
アニエスは右手の親指でぐいとノベリットを指し示した!
ノベリットは間抜けな感じで右の人差し指で自分を指し示している!
「・・・いえ、何の関係もありませんが」
マナの言葉に、一同が『へっ』と目を丸くした!
「や、じゃあ今のだし巻き卵の話は・・・?」
「あ、いえ、両親の小料理屋について味を尋ねられたので何となく流れから・・・」
「なんじゃそりゃっ!」
ノベリットがギャフンとツッコミを入れた!
するとそれを咎めるようにマナがキッと睨み付けた!
その視線の鋭さに、ツッコミを入れた方のノベリットが身を縮めてしまった!
「閑話休題、私方は三姉妹なんですが、問題があったのは長女でした」
「『閑話休題』ってリアルな会話で言うヒトを初めて見た・・・」
ノベリットの更なるツッコミをマナは意に介さない!
「長女のイナには『問題』があったんです」
マナはさらに淡々とした調子で続けた!
「問題とは?」
アニエスが尋ねると、マナはうつむき気味に、
「・・・です」
小さく、衝撃のひと言を呟いた!
「・・・ほ、本当かっ!!!」
アニエスがよろめきながら片手を自分の頭にあてがい、聞き返した。
ノベリットは驚愕にその目を大きく見開いた!
何だ!一体何なんだ!

匿川 名  2016-05-04 20:23
神話よりも古く、あらゆる意識よりも深いところで、凡そ万物の干渉が及ばぬ『理の力』は端正としか言いようのない在り方でただそこにこそ在った。
届けば分け、触れれば割く。
それが其の在り方であり、存在するべく意義であった。
闇雲ではなく、無為でもなく。
『在り方』とは遍く存在の『意味』であり『意義』である。
意識的で在るかに関わらず、真理とはそうしたものであり、冷徹そのものである。

『まことのことわり』

ヴィットルタは今其の『在り方』と対峙していた。
巨大な亀は大地をその背に乗せ、幾万の年月を生きてきた。
だが、あらゆるものには始まりがあるのと同様に、終わりが必ず存在する。
ビッタルトが感じるのは自らの『死期』そのものであった。

『いまわのきわ』

ヴィットルタが今在るのはまさにその時であり、しかし観測するものの不在は、この悠久といえる年月を生きてきた亀の時間を計るに能わず、『際』そのものの長さを知ることは、それこそ『神』にしか適わなかったことであろう。

だがそれも、そもそも、『神』という概念が余人に観測できる明確な『概念』として存在するのであればではあるが。

息を吐き、また吸う。

凡そ長大としか言いようのない時間をかけて、亀は其の吐息をまき散らし、また辺りの空気を吸い上げていく。

「ああ」

と亀は呟いた。
あらゆる世界を識り、時に見てきたことを自負するこの『世界を背に乗せた亀』は--

「ああ」

星を仰ぎ、

彼方へ目をくばせ、

「あああ」

頼りない一息のもとに、その生命を、息吹のすべてを、

終わらせ、息絶え、

此処ではない--言いようのない彼方への旅路へと就いた。


(あ、今更のネタですが『ヴィットルタ』はturtleの逆さ読みをさらにもじってテキトーに命名しました・・・てか、このアップ分では命名した自分で名前を書き間違えていたのでこっそり修正しました(滝汗)

匿川 名  2016-04-28 23:48
・・・その頃、『魔炎の山』では・・・

「愚か者どもが集まっておるわ」
口の端をひん曲げて、乾いた笑みを浮かべる男はひび割れそうな皺も深く、御伽噺の魔女然とした邪悪な笑声をさらにからからと上げた。
その目の前に鎮座するのは水晶球である。
紫色の骨のような形をした台座に重ねられたその中に、映し出されているのは専ら狼狽えるばかりの勇者――ノベリットの姿であった。
取り囲む映し鏡のような少女ふたりと、女剣士の姿を眺めながら、その邪悪の権化のような男は鼻を一度ふんと鳴らした。
「愚図、屑、阿呆と間抜けか」
気まぐれに世にも汚らしい物を目にしたかのような、至高の立場から下水の底の汚物を眺めるかのような、哀れみと高慢と、高揚と冷徹が入り交じったかのような視線はひたすらに水晶球を通じて彼らに注がれ続けた。
その視線をなんと表現すれば良いのだろう。
羨望、焦がれ、憎しみ、嫉み、畏れ、愛、憎悪、それこそ人という種が抱きうるあらゆる感情が渾然としてそこに在り、閃き、揺らぎ、霞み、そしてまた灯るかのようだった。

突然、
ははっとその男は、
――笑った。

その視線が注がれるのは、ただ一点。
水晶球の中の一団に添うように在る『犬』の存在にだった。

「なあ・・・未だなのかよ。未だ、吾は主を待つのかよ・・・」

男の顔は邪悪のままに微笑み、張り付いたその笑みは彫刻刀で抉ったような皺を頬に刻み、なおかつ声は悲嘆に満ち――
全てがかみ合わずちぐはぐだった。
そんな男を、男の在り方を説明する言葉はきっとひとつしかない。

男は静かに、しかし間違いなく――完全に狂いきっていた。

(うわあ、なんか超マジメな話っぽい?!?!?!)

匿川 名  2015-07-28 22:16
アニエスは、右手を上げるとマナをかばうように横に伸ばし、カナに対峙した!

そしてその口元がゆっくりと開く!
なんだ!何を言うんだアニエス!

「・・・はらたいらさんに3000点・・・」

すると、ぼそりとアニエスはそんなことを呟いた!
っていうか、今時そんなネタが分かるのは昭和世代に限られるぞ?!
おまけにカナはどう見てもまだ若い!
絶対に理解出来ない!出来るはずもない!
ほうら、案の定ぽかんとしてるし!
だが!

「ふんッ!」
アニエスがその瞬間を逃さず飛びかかった!
カナは呆気にとられていただけに一瞬反応が遅れた!
ダガーを持つカナの懐にアニエスが剣の柄を差し込む!
そしてそれは見事にカナの鳩尾を一撃した!

「ぐふうッ!」

カナが呻いて体をくの字に折り曲げた!
その気を逃さずアニエスが首の裏側に手刀で強かな一撃を打ち付けた!
これにはカナもたまらない!
その場にがくりと崩れ落ちてしまった!
「ふう、狙い通りに行ってくれて良かった・・・」
アニエスはそんなことを呟いた。
「でも、今時『はらたいらさん』て。『3000点』て」
ノベリットが『この人本当は歳いくつよ?』と言わんばかりの目でアニエスを見た!
するとアニエスが凄い形相でぎょろりとノベリットを見返したので、思わずノベリットはほんのりちびりそうになってしまった!

さておき。

「で・・・お前達姉妹には一体何があったんだ?」
アニエスがため息混じりにマナを見つめながらそう尋ねた!
「わんわんわおーん?(本当に、どう言うことだ?)」
ワンちゃん言葉ながらカイザーも尋ねた。
その間、ずっと俯き気味だったマナが、やがて何かの意を決したかのように顔を上げた。
そして、すっと指を伸ばし、ひとつの方向を示した。
その先にいるものは・・・ノベリット?!?!

びっくりしているのは当の本人だノベリット!
「お、俺ぇ?!?!」
「・・・この人が、全ての発端なんです・・・」
重い口を開くように、ひと言ひと言を実にゆっくりと発しながら、マナが呟いた!
「実は、以前・・・」

匿川 名  2015-06-14 23:22
「な、何と・・・最終更新から実に、放置一年半?!」
マナのセリフにノベリットがガ○スの仮面のような白目を剥いた!
「バウ・・・(マジかよ・・・)」
カイザーも思わずため息のような声を漏らしている!

それはさておき!(←さておいていいのか

「ドラゴンハンターだと・・・?」
そう呟くアニエスの目が何となく怖いんですけど!
「・・・ドラゴンハンター?そんな人たちいたかしら?」
ノベリットの言葉に反応し、素直なカナが眉をひそめた。
「え・・・あなた・・・?」
マナがそこで本当にようやくカナの存在に気がついた。
ノベリットはすかさずカナをぐいと前に押し出した。

「やあやあ偶然ですなあ。カナ君、こちらが君を捜していたお姉さんのマナ君だ!一方マナ君、勇者の私が妹を特別に探してきてあげたのだけど、感動のご対面だから、ここでおいおい泣いていいぞ?」

なんと!ここに来てまさか感動の姉妹対面を演出してチビドラのことをうやむやにする気ですか?!
ズルいぞノベリット!
セコいぞノベリット!
ところが、次の瞬間!

いつの間にかダガーを手にしていたカナが素早くマナに飛びかかった!
ノベリットには止める暇もなかった!
だけどそこは頼りになる素敵なワンちゃんこと、カイザーの出番だ!
カイザーはマナに飛びかかり、間一髪その身を横に押し倒してカナの凶刃を避けた!

「探した・・・探した・・・探したわよ、姉さん」

柳のように身体を揺らめかせ、睨め上げるような視線でカナはマナを見た!
そう言えば今更ながらカナの『姉を探してた』って・・・一体全体どーいうことなの?!
その時、アニエスが突然動いた!

匿川 名  2014-01-21 22:32
「ところで、『ふたりっ子』ってご存じか」
ノベリットは真顔でカナにそう尋ねた!
「え?」
カナはきょとんとしている!
「や、いいんだ。忘れてくれ」
何だか独り言がアレだぞノベリット!
「私方は三つ子ですが・・・」
そしてカナはぼそりと呟いた!
「え」
「いえ、何でも」

まあ、それはさておき!

その時、ノベリットの脳裏に(ダメな)天啓が閃いた!
「・・・よし、分かった。カナ、お姉さんの所へ連れて行ってやろう」
ノベリットは深く息をつきながらそんなことを言った・・・って、だ、大丈夫なのか?!ノベリット?!
しかしカナはぱあっと顔を明るく綻ばせ、ノベリットに深く頭を下げた!
「お願いします」
可愛い子にこんな風に言われては悪い気はしない!
「よし、オレについて来い!」
ノベリットは高笑いをしながらそう言った!
「はい!」
素直なカナは嬉しそうに大きく頷いた。

・・・そして、パーティが休憩していた広場の一角に戻ると、案の定大騒ぎになっていた。
戻ってきたノベリットに気がついたアニエスがいつになく取り乱し、
「チビドラが、チビドラがいないんだ!」
肩を掴み揺さぶりながら泣きそうな声でそう言った!
「落ち着け、アニエス。オレはいきさつを知っている」
ノベリットはそう言って、悲しそうな顔をして見せた。
「な、何があったのだ!」
アニエスがノベリットに詰め寄った!
っていうか、そろそろパーティのみんなはノベリットと一緒にいるカナに気付いても良いんじゃないか?

まあ、さておき。

「チビドラはドラゴンハンターに浚われた。今では囚われの身だ。オレは救おうとしたが、多勢に無勢で何も出来なかった・・・そう、そして、あいつを救うには5万Gが必要なんだ・・・」

ノベリットは重々しい口調でそう言った!
場の一同を沈鬱な空気が包む!
しかしテキトーだぞ、ノベリット!
ウソがばれたらどうするの?!

その時、マナが言った!

かざぐるま  2014-01-18 11:09
数時間後

ギイイイイ……。

『スター☆』というカジノのドアを開けてノベリットが出てくた。その顔にはち〇まる子ちゃんの顔に入る縦線のようなものが浮かんでいる。
「ど、どうしよう。全部負けちゃった」
頭を抱えて埃っぽい道端に座り込んだ。そのまま数分動かない。
まあ、よくあるカジノの街にある光景だが彼の不幸はそれだけではなかった。
しばらくすると、ノベっちはある事に気付いた。腰のあたりが何か寂しい。
「あれ? 剣ってどうしたっけ?」
彼はあまりにも負けすぎて頭がぼーっとしていたせいか、勇者の剣を椅子に忘れてきてしまったのだ。
急いでカジノに戻り探し回ったが……剣はついに見つからない。
このままではチビドラも質流れしてしまうし、勇者なのに剣も無くしてしまった。
これは、仲間に正直に話して許してもらえるレベルではない。

ノベっちは肩を落とし、街外れまで歩いて行った。
(このまま街を出てしまおうか。そうすれば仲間とは二度と会う事はないだろう。でもそれって勇者としてどーよ?)
自責の念と逃亡の誘惑が彼の胸で渦巻いていた。

その時……。
「あの、これ忘れていったのはお兄さんじゃないですか?」
振り向いた瞬間、ノベっちの顔は微妙にひきつる。
その若い娘は、“マナにそっくり”だったのだ。
「マナか? いや違う。でも瓜二つだ。もしかして双子じゃないか」
「え? お兄さんマナを知っているのですか? 私はカナです。お姉さんのマナを探して世界中を旅しているの」
見た目は同じだが、話し方やおっとりした仕草がマナとは段違いに可愛い。
ノベっちは剣をカナから受け取ると、丁寧にお礼を言った。
「お礼に何か手伝えることはあるカナ? なんつって」
「……」
街はずれの一画に一筋の寒風が吹きぬけた。
「お姉さんの所に連れて行っていただけたら嬉しいです」
「そ、そうだね」
カナをマナに会わせることは問題ない。しかし、今ごろチビドラの件が仲間に伝わっている可能性がある。

さあ、どうするノベリット!

匿川 名  2014-01-12 22:07
「まいどあり~♪」

「・・・は!」
気がつくと、ノベリットの肩からチビドラが消え、その手には革袋にぎっしりとつまった金貨の山が!
っておい!仲間を売っちゃったのか、ノベリット!!!
「・・・やってしまった」
『やってしまった』では済まない気がするぞ!ノベリット!
割と最低気味だ、この野郎!
私も『語り部』としてもそれはどうかと思うところだが、実際のところ一体どうすんのよ?!
「まあ、大丈夫だ」
ノベリットのアホウはそんなことを言い出しましたよ?!
何がどう大丈夫なのか?!
「とにかく、賭だ!少なくとも、この金を倍くらいにすれば、チビドラを買い戻して3万Gくらいお釣りが来るって寸法だ!」
あのー『世間の駄目なヒト』は、みんなそんなことを言うんですよ?
二倍って数字じゃ大したことなさそうだけど、3万Gが6万Gになるのってやっぱり並大抵では行かないと思うんですが?
それに、もしもチビドラと仲良しのアニエスに見つかったら大変ですよ!
それこそ『修羅の剣』で一刀両断にされても文句は言えない気がしますが・・・。
「大丈夫!」
な、何だかそこを力強く言い切りやがりましたよ?我らが勇者様は?


「オレ様が賭に勝てば、エブリシング・オッケー!」

・・・もうアホすぎて言葉もありません。
しかし、質入れしちゃったものは仕方がない!
一体どこに賭に行くのかなあ、ノベリット!!!(←投げやり


かざぐるま  2014-01-11 14:29
ノベリットは考えた。
(このごろ勇者として俺は何も活躍していない。アニエスのお金も少ないみたいだし、ここは何とかしなければ!)と。

しばらく歩くと『よろず質店』という看板が見えてきた。そこには「小さなドラゴン高額引取り中!」と書いてある。それに気づいたノベリットは、アニエスの肩で寝ているチビドラをそっと自分の肩に乗せてしまった。

街の中央にある大規模な噴水の前に腰掛け、一行は話し合いをしている。チビドラが彼の肩に乗っているのを気にかけている者は誰もいない。
噴水の周りには行商の人たちが店を出し、果物や干し肉、回復薬などを店頭に並べていた。強い日差しがテントにさし、濃い影がノベリットたちの足元まで伸びている。

結局この後はアニエスにまかせるということに決まった。まず彼女は、この街で一番デカいカジノに行ってみるらしい。そして一旦それぞれが街に散って行く。

五分後、後ろを気にした様子のノベっちがチビドラを肩に乗せてこの質店を訪れた。
「すいません。表の看板を見たんですが……」
「いらっしゃい。おお! それはドラゴンの子供じゃないですか!」
揉み手をしながら店主がにこにこと近づいてきた。
「ええ。すぐにお金が必要なんです」
「ここはそのような人ばかりですよ。軽い気持ちで預けて下さい。ちなみにその子には……30,000ゴールド出します」
「そんなに!?」

ノベリットは迷っていた。ここでお金を借りて、もし返せなかったらとんでもない事になってしまう。そしてそれと同時に仲間の心も離れて行ってしまうだろう。

どうする? ノベっち!

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