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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』[小説コミュニティ]

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勇者ノベリットの冒険

かざぐるま}
かざぐるま
勇者は村を出た。装備も魔法もまだ持っていない。とりあえず北の森に向かってノベリットは歩き出した。そこに突然!!
2013-07-11 19:30:04

コメント (190)

匿川 名  2024-04-08 23:35
女騎士は――訝しんだ。
否、それは正しくない。
感触としては、奇想に囚われた奇術の観客のように、
寧ろ『途方に暮れた』と評するのが正しいのかもしれないが、
それでも眼前(めのまえ)に広がる光景には、
刮目したうえで、すうんと鼻から長い息を吐くほかに出来ることがなかった。

「これは・・・」
侍が細い声音で呟いた。
彼らの瞬く間に眺望(ながめ)は、変わり果てていた。
彼らの前には勇者の背がある。
そして辺りを囲むのは、
――一面を占める、緑の茂る森の姿であった。

ただ今し方まで其処に在った火口は無く、
熱気と暗く覆う噴煙も無い。
寧ろ穏やかでしか無い緑の香りが、
素っ頓狂なまでに場違いな印象で、
彼等の鼻腔をさらり、さらりとくすぐった。

侍と女騎士が互いの目を見合わせて、眉根を寄せ合う。
その前で、背を向ける勇者はひと言も発さず、つか、と前へと歩みを向けた。
恐る、といった様子で二人がそれに倣おうとしたとき、

世界が鷹揚に――また、その背を揺すり始めた。

瞬間、二人は理解した。
今居る処が何処で在れ、此処は『続く大地(たいち)、あるいは世界である』と。
そのうえで、此処が何処で在るのかは、実はそれほど大きな意味を持ち得ない。
何故ならそも、彼らは此処が何処で在れ、





『それを含めて全てを遍く救うべく』居るのでは――なかったか。




剣(つるぎ)は失われ、世界は瞬きの間にその姿を変え、
――だが彼らは其処に在るので在れば、

『為すべきことは変わらずひとつ』であるのであれば、

彼女は黙って先を行く勇者に倣って歩みを前へと向けた。
同じく侍も黙り歩みを合わせた。
図らず、彼らは同じように歩みを続けることになった。

勇者が世界の果て、
或いは滾(たぎ)る火口へと歩んだときと同じように、
同じままに、
恰も――それは子羊が羊飼いに導かれるような、素朴で無心な頼りの素振りと倣いに似て――。


匿川 名  2024-03-18 20:35
赤(あか)く、明(あか)く――。
燃ゆる大地の溶けゆく処(ところ)。

深淵の縁へと落ちてゆく剣は、きらと閃くような輝きを筋放ち、ぽたん、と紅の中へと浸かった。

『しゅう』という小さな音を立てて、
蕩ける土の中に沈みつつ、
その刀身には朧に『ことば』が浮かび上がる。


『や、あちーって!マジで!死ぬってば!てか溶ける!とーけーるー!!!』


おや、結構マジで大変だぞ伝説の剣!



――それを虚ろな目でそれを眺めるのは、ただ勇者ひとり。
侍、それに女騎士は物言わずその後背で立ち尽くす。。
いや、『虚ろ』、否。
勇者の瞳の中には、深く底の識れない『黒』のみがある。
ともすれば眼窩に灯されたのは、『酷薄』とすらいえそうな冷たい針のような眼差し。
ごぼりと溶岩が巨大なあぶくを起こし、弾ける。
そのはずみで剣は完全に大地の裂け目の中の、滾る赤い胎内に飲まれた。


――すると、


瞬きのような僅かなひとときの間に、


奇跡が――陳腐ではあるが、『奇跡』としか形容の出来ない事象が――

起きた。


侍と女騎士が目を細め、そして、


見開く。


勇者はその前に立つ。


大掛かりな手品でもあるまいに、
而してそのようなことが起こり得るのかといえば、
『起きうる』というよりも、
問答の是非もなく――

――『起きてしまった』としか『認識』のしようもなく。

匿川 名  2024-02-12 11:34
もうと湧くのはただ、熱気。

薄暗がりに辺りが満ちるのは、夜気に寄るものでは無く、焦がれる烟(けぶり)と灰を含む湯気の合い舞う姿故。

足下の岩は何時も不意にこそ砕け、歩むたびに足を取ろうと狙う。

――しかし彼らはただ歩む。
そして目指すのは峰の深奥、大地の皰(にきび)とも言うべき孔(あな)のその縁。

屡々(しばしば)、ごごと揺らぎ歩みを拒むのは、世界の意思か、或いは彼の者の高き哄笑か。
その時、ずん、と一際大きな縦揺れが彼らを襲った。
並みの者ならその場に平伏すような畏怖、恐怖、恐慌を伴うべき一撃であった。

――にも拘わらず。

幽鬼の如き彼らは止まらない。
のろのろとした歩みではあるが、足は絶えず前へ、前へと伸し出される。
恰(あたか)も巨躯から観る蟻の歩みのように。

世界の嘆きはその『為すべきこと』から何らの影響を受けないと、
頬をなぜる風の如く、
降る雨の一粒の如く、
『在るものとしてただそこに在るという認識以上の価値を、そこの誰(たれ)も見出しはしない』と言うかの如く。


赤く煮えるのは――灼熱。
巨大な湖のように、大地の面皰の底に滾(たぎ)るのは、溜まり揺れる赤い緩やかな猛熱。
煤に汚れ黒ずんだ顔を猛熱の赤がじりじりと焦がす。
大地の縁に立ち、ノベリットはのた打つ巨大な呪わしき赤龍の如き赤い奔流を見下ろした。

そして、腰に収めていた剣をするりと抜き出すと、一度高く高く空へと構え――

す、と滾る赤の中へと投げ出した。

――落ちながら、その刀身に青白く文字が浮かび上がる。



『え、マジ?ちょっと、オレぇぇ?!?!!?!』



おおっと動揺してるぞ、伝説の剣!

匿川 名  2023-11-27 11:30
薄く、瞼を開いた。
それで自らが微睡みに墜ちていたことに気づいた。
――そして、まだ自分が『在る』と言うことを識り、皺枯れた瞼を今一度大きく開き、『世界』を其処に確かめる。

朧気(おぼろげ)に見える景色は、濁り溜まる涙に寄るのでは無く。

薄まる世界は、景色は、それが虚像で在ればの故。

揺すれば「きい」と音を立てる安楽椅子の上で、彼女は不意に微笑む。
そして『何故?』と己に問う。

――なぜ?
  なぜなの?何故私は微笑むの?

ごごごと低い音を立てて大地が、鷹揚に揺れる。
天井からぱらぱらと細かな粉が落ちる。
『単なる事実』として『色を失いつつ在る眺め』は、其処が虚像で在ればこそ。
しかし彼女はまだ其処に在る。
脇のテーブルにはすっかり冷めたティーポットが置かれている。
彼女はそれに手を伸ばし、空のカップの中に冷めたハーブティーを注いだ。
口元にゆっくりと運ぶと、香りは立たなくとも喉越しに鼻腔へと透き通るような爽やかさが昇った。

そして、ひとりきりの世界の果てで、誰に宛てるでも無く、

「――まあ、お客さんが来るのねえ」

と彼女はそっと、呟いた。

匿川 名  2023-09-17 20:23

――なあんちゃって(爆

気がつけば最終更新から早くも5ヶ月!
どこに行くんだ、ノベリット!
それは・・・私も知りたいっ!(大爆

匿川 名  2023-09-17 20:21

峰を征く――。

一同は、ただ黙して誰(たれ)も語らず。
踏みしだくのは破砕した岩と、僅かな草木の成れの果てと。
真っ先を征くのは『勇者』である。
ただその眼(まなこ)は昏(くら)く、およそ生気と呼べるものが無い。

――否。

その眼の表徴と云うべきか。
例えば夜の海が昏くとも、其処には宿り棲む数多の命が在るかのように。
『ふうっ』と吐息が口の端から漏れるとき、
ぱちぱちと爆ぜる焚き火の粉よりも儚く。

其処に在るものをなんと語ろう。
其処に在るものをなんと呼ぼう。



或いはそれが、この世に残された最後の

『のぞみ』

で在るというのなら、

伏せる想いは横たわる長大な龍の如く、

僅かな瞳の穴からは、決して識れぬものでこそ、ただ只管(ひたすら)にあれかし。




峰を征く――。

ふらと続くのは『さぶらい』。
何を識るというのか、或いは、『識ること』はそもそも己が埒外であるのか。
ふらり、ふらりと歩くその足には惑いが無い。
盲(めしい)が手を引かれるが如く、然しそこには毛の先ほどの不安の影も無く。


峰を征く――。

女は嘗て騎士で在ったが、最早跨がる騎馬も無く。
とぼとぼとした足取りには、往時の颯(さっ)たる風(ふう)も無く。
惑いが纏う甲冑の中には、只管(ひたすら)に目を細む空虚な『まやかし』が。
苛むのは足の痛みでは無く、鎧の重みでも無く。


――大地が揺れる。
彼らの足下を揺する。

然しそれは、歩みを妨げるまででは無く、世界が発する声なき諫めとも在れず。

峰を征く――。

彼らは今、

病み崩る世界の直中に、

朧な勇者を陣頭に、

ひたひた――ひたりと峰を征く。


匿川 名  2023-04-17 21:32
「それは、誰なのだ」
そう尋ねたのはアニエスだった。
無論というか当然、この場ではノベリットしかその名前を識る者は居るはずもない。
「賢者で、老婆だ。
 オレの中に在り、かつて夢の中で語った」
ノベリットは歩みを止めず、そう告げた。
種田が眉間に皺を寄せ、眼を細める。
「馬鹿な」
アニエスは苦々しげにそう呟いた。
「最早この世界に残された刻(とき)はきっと僅かだ。
 なのに、打つ手が『夢の中の賢者に会うこと』だというのか?」
ノベリットはもくしたまま、しかしはっきりと頷き意思を表した。
それは嘗てない明瞭な目的の現れだった。

『眼鏡の、
  小柄な、
   賢者というよりも寧ろ魔女にこそ似た』

その言葉に驚愕したかのように、アニエスが両の眼を見開いた。
それは意味する事柄にではない。
発した人物にこそ、だ。
呟いたのはノベリットではなかった。
賢者を言い表したのは、実に種田そのひとだったのだ。

ノベリットはその言い表しに肯定を加えるかのようにさらに頷いた。

しかしそこには疑問も疑念も抱かないかのようで、
己が夢を他者が言い当てたことについて、
まるでそれが『当然の帰結』であるかのように。

匿川 名  2023-01-20 21:28
――大地が揺れる。

ゆさゆさと鷹揚に、併(しか)し何かの終焉を伺わせる、例えるなら今際の際の睡(ねむ)れる老い人の淡い吐息のように。
片膝をついてバランスを保ちながら、勇者は辺りを見渡した。
女騎士と侍は黙って彼を見つめている。
勇者は剣を地に立て、ぐいと身体を起こした。
竜は彼方の空に去り、最早追う事も叶わない。

彼の手の中で、剣の刃がぼうと薄青い輝きを放つ。



『大地に刺すなよ、いてーじゃねえかこの野郎』



で、そこに浮かび上がるのはそんな文句だったりして。


「・・・折角雰囲気を出してるんだからもうちょっと何とかならないのかな、こいつ」
ノベリットはぼそりと文句を呟いた。
「それで、如何に」
と種田さんがノベリットに尋ねた。
「そうだよなあ」
ノベリットはそう呟いて右手で自分の後ろ頭をぼりぼりと掻いた。
「折角ここまで逃げてきたんだけどさ。思うのよ。多分、このままだとこの世界って駄目になっちゃうんじゃない?」
ノベリットの言葉にアニエスが悲痛な面持ちを浮かべた。
「世の中って結局『やるかやらないか』しかないと思う。何となくだけど。
 今からオレが何かして、それが何かに間に合うモノなのかどうかも分からないし、実際何をすれば良いのかも分からない。
 でも、だからこそ、『今思い付いた事すらしない』っていうのは後悔しか生まない気がする」
ノベリットはそして、そう続けた。
その言葉に、種田さんが薄く微笑んだ。
「だから、行こうと思う。心の閃くままに」
「しかし、何処へ?」
アニエスがそうノベリットに尋ねた。
「ひとつだけ心当たりがある。間に合うモノなのか、辿り着ける処なのかも知れない。
 ただ、現状を打破するにはオレ達には圧倒的に『世界への知識』が足りない。
 補うには『識る者』を探し、逢うのが一番だと思う」
そう呟くと、ノベリットは歩き出した。
種田さんとアニエスがその後をそっと辿る。
「だが、それは一体」
アニエスが背後から尋ねた。

「ヴァンダール」

ノベリットはぼそりと、自らの中に在る夢幻の住人の名前を口にした。




匿川 名  2022-12-29 17:13
なんと5ヶ月ぶりに更新!
あのHU○TER×HUN○ERを決して笑えない現状!
でも書けたらまた書きに来ます。
毎度毎度ですが、乱入全然問題ナシです。

 匿川は あなたの一筆 待っている!
 
なんて五・七・五でまとめつつ、では、また。

匿川 名  2022-12-29 17:07

「『跡(あと)』とは?」
アニエスが種田にそう尋ねた。
「誰かの財布の中にコインが入っていたとして、持ち主のニオイがコインについていたなら、優秀な犬であればそこまで辿れる可能性がある、とうことです。だから、探すなら早ければ早いほどいい。しかし、」
種田はそこで一度言葉を句切った。
「しかし?」
ノベリットが身を乗り出しながら種田に尋ねた。
「それはすなわち、当然にあの魔法使いとその幻影に限りなく近づくことを意味する」
その言葉に、アニエスの表情が一瞬凍り付いた。
ノベリットは反射的に竜が翔んでいった東の空をがばりと向いた。
そこにはもはや竜の姿はなかった。
滑空の速さは比類なく、彼とその仲間に追うすべは何もなかった。

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