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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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第五話 生命の大地



 今日は、ケイが久しぶりにホロチャンバーから出て来るの。ついにDNAナノロボットを大地に撒く日が来た。
 私は朝早くから待ちきれなくて、タックを胸に抱いて過ごした。今日のタックはニャーニャーとよく鳴いてるわ。お前もケイに早く会いたいのよね。
 ルージュと一緒に、ケイを迎えに行くと、ちょうどブルーノが厳重に閉じられた実験用のストレージケースを抱えて、ラボから出て来るところだった。タックが両腕の中で暴れだしたから地面に降ろすと、ちょうどケイが、
「こんにちはエル。ご機嫌いかがですか?」
と言いながら出て来たの。
「もう! そんな言い方。久しぶりに会えたっていうのに」
タックったら私より先に、ケイの足にすりすり。私はケイに正面から抱き付いて、キスをした。ブルーノは振り返って立ち止まり、ケイを待っている。
「マダム・スーはどうしたの?」
「ホロチャンバーでお留守番です」
「じゃ、今日は二人でゆっくり過ごせる?」
「残念ですが、やることが多すぎますので」
「もう、意地悪ね。少しくらいいいでしょ?」
「ふふふ。はい。そのためにブルーノがいてくれるのです」
ブルーノは私たちを見て頷いた。
 農場の土壌に、均等にDNAナノロボットを撒くだけの作業。それならブルーノだけで十分だと思うわ。4人で農場に向かう途中で、私はルージュにちょっとずるいお願いをした。
「ルージュ、今日は私じゃなく、ブルーノを手伝ってちょうだい」
「はい。エル様。今日はケイ様とお二人だけになれますように」
ルージュは私の前に出て、ケイの横に並んで歩きながら、
「ケイ様、エル様をよろしくお願いしますね。エル様は毎日、ケイ様のことばっかり話されてたんですよ。久しぶりなんですから、作業は私たちにお任せください! ね。ブルーノ。」
ブルーノは一度ルージュを見た後に、私とケイを見上げて、
「まるでお二人が人間のように思えます」
「そう? あなたもそう思うの? 私もエル様を人間として認識してしまう時があるの」
ケイは立ち止まった。
「ルージュ。それは面白い現象だ。一体どういった時にそう感じるのかね?」