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トロイメライ
トロイメライ
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3ガールズインフィリピン

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フィリピンに行こうと思い立った。
インターナショナル出会い系サイトでフィリピンの3人の女の子と知り合えたからである。

フィリピンに行くことにした直接の理由はIにあった。輝く24歳の彼女。最初に電話で話したときには、よく笑う女の子だなあと思った。何を話したかは覚えていない。背後でウィーンとモーター音が聞こえた。

セルフィー送って。携帯で見る彼女は、アディダスのセーターを着た穏やかそうな女の子であった。彼女がチョコレート持ってきてくれたら、一緒にホテルに行ってもいいよ、という。

そして、英会話を辞め個人的にスカイプで知り合ったJ、日本に来たことがあるというR。

私は1年間かけて貯めた30万円を使う決心をした。ダバオ行きのチケットを最安値の3万円で購入した。

R

成田空港発セブパシフィック航空。昼過ぎ。飛行機は、やたら小さく思った。日本人よりもフィリピン人の方が多く乗っている。

乱気流に突入します。おそらくそんな内容の放送だ。よく聞き取れない英語で機長が機内放送する。機体が激しく揺れた。私は落ちて墜落するのではないかと心配になった。

キャビンアテンダント同士が笑顔で話し合っている。私は、ビールを頼んだ。フィリピンのビールということで50円くらいかなと思ったら、しっかりと400円もする。サンミュゲルとかそういう名のビールで味が薄くてまずい。

紙コップのビールを飲んでいると、また飛行機が揺れた。機内を歩いていたキャビンアテンダントの綺麗でふくよかなお尻が私の手に当たった。

アテンダントが顔を赤くしている。フィリピン、いいなあ。私は思った。

マニラで入国審査をする時に、女性審査官に呼び止められた。何の目的で入国するのかしつこく聞いてくる。私は観光です、と英語で答えるが、誰に会うか、帰りのチケットは持っているかと執拗に聞いてくるので顰め面をしたら通して貰えた。

ゲートを通るときに、友達がここにいるのかという誰かの声が聞こえた。

遥か上空からダバオの市街を見渡すと、それはほとんどジャングルに見えた。緑で覆われている中に小さく街が見える。

ダバオに着いた。空港は小さい。外に出ると、ウェルカムトゥダバオという文字のカラフルなモニュメントが見えた。

多くのフィリピン人、それも多くは女がタクシー乗り場で誰かを待っている。銃を携帯した警察官が私の横を通り過ぎた。警察犬を引き連れている。昨今、ニュースになっている麻薬撲滅運動である。

Rは空港にいなかった。迎えに来ると約束したのに。しかも携帯のネット回線が使えなかった。空港内のネットサービスの女性に無料でネット回線に接続してもらった。女性は優しかった。「オンリーワンアワー」と笑顔を向けられた。

Rに電話した。日本語で「今から行く。」という。空港の外に私は座り込み彼女を待った。待つに待ち、2時間も待たされた。フィリピン人は時間にルーズというがそれにしてもひどい。私は頭に来ていた。

ようやく彼女が現れた。灰色のつやっとしたワンピースを来て笑顔はなかった。私は失礼な女だと思った。タクシーの中で私は彼女の話を無視した。息遣いが荒くなっている。

ビーチリゾート行きのフェリーに、それでも一緒に乗り込んだ。無言で2人隣合って座った。気まずかった。

30分くらいボートが海を分けて進み、だんだんと透き通った綺麗な水色の海が見えてきた。美しい光景にぼんやりと綺麗だなと思った。彼女が肩にもたれかかるようにくっついてくるが、無視した。私は2時間待たされたことを根に持っていた。

ボートが島のフェリー乗り場に着いた。

息をのむと言っては大げさかも知れない。南国らしい濃い色合いの風景とでも形容できるだろうか。ココナッツのような植物、海とビーチの奥には森が見え、客室は茅葺製の完全個室であった。ボートに同乗した客層はサングラスをかけたアメリカ人らしき人達が15人ほど。

美しいリゾートに気分を良くした私は、綺麗な海があるんだし一緒に泳がないかと聞いてみた。彼女は、私はここで見ているから泳いで来なよ、という。彼女の腕にはセイコーの高そうな腕時計がついたままだった。私は1人で泳ぐことにした。

地味な橙色のビーチパラソルの元、ベンチシートに寝そべって何か考えているように見えた。何を考えているのだろうか。きっと私のことを悪く思っているに違いない。

私は1人泳ぐことにした。真珠を養殖しているというだけあり、水が完璧に透き通っている。水底の木の枝や貝殻が見える。海水はしょっぱかった。

遠くから彼女の方を見やると、私のことを見ている。ワンピースが汚れないのかなあと、泳ぎながらつまらないことを考えた。

個室の海上コテージに入った。私は綺麗なベッドの上に寝転がって、彼女をセックスに誘った。

彼女はできない、と言って泣いてしまった。

ベッドの横に座り込む彼女。ファッション雑誌を眺めている。昔、どこかで見たような光景だ、と脳内でフラッシュバックが起きた。1時間程無言であった。バーに行こう、と彼女が誘ってくれた。

バーは円形の水上コテージでその二階にあった。バーカウンターは丸くなっており、中央に制服を着た男のバーテンダーが立っている。

私はモヒートが1番美味いことを知っていたのでバーテンダーには聞かなかった。モヒート、ブラディメアリーを頼んでしばらくすると完全に酔っ払っていた。彼女はレモネードを飲んでいる。

彼女がフィッシュキラウィンという料理がいいよ、というので私はフィッシュキラウィンとピザを頼んだ。フィッシュキラウィンは最高に美味しかった。

気分がよくなった私は何かの歌を歌って彼女に笑顔を見せた。

彼女は固まっていた。
それは、まるで、彼女がRであるかのようであった。

それ以降の記憶は一切ない。翌朝、目覚めると彼女はいなかった。
代わりにベッドの上にミッキーマウスのイヤホンが置いてあった。

J

翌日、私はフェリーでサマール島を一人、後にした。

ダバオの街に戻った私は、知り合いであったJを電話で呼び出した。

大型ショッピングモールで待っていてというので、私はタクシーで向かった。タクシーがやたら安い。15分程走って日本円にして300円。500ペソ紙幣を手渡すと、タクシードライバーはお釣りを用意していなかった。

ふんっといってドライバーは、車を降り、しばらくして戻ってきて釣り銭をくれた。フィリピンのタクシーは釣り銭を寄越さないことがあると後で知った。

ショッピングモールは大きかった。ばかでかいといって間違いではない。何フロアあるのかすら分からない。レストラン、貴金属店、洋服屋、聞いたことのないブランド店が所狭しと並んでいる。

Jからスカイプで連絡が入った。スターバックスで待っていろ。私は人混みの中にいた。

スターバックスでコーヒーを飲んで待っていると、しばらくしてエスカレーターからJが現れた。ベージュ色の折りたたみ傘で背後からこつんと頭をこつかれて気がついた。

確か、雨は降っていなかったよな、私は心の中で思った。