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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16

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ハッピーエンドが待っている



「残念賞のポケットティッシュで~す」

ですよね。世の中はそんなに甘くないのだ。
瑞は少年にもらったレシートでくじ引きに挑戦したのだが、海外旅行が当たるはずもなかった。

「結局残ったのは、これか」

わらしべならぬ、ポケットティッシュ一つ。でも、悪くない。様々な出会いがあって、面白い一日だった。
町をうろつき、本屋に長いし、コーヒーを飲みながらぼさーっとしているうちに日が暮れて、いつの間にかもう休日が終わろうとしている。

(こういう日も必要だったのかな)

そんなふうに思える。八時が近い。そろそろ帰らなくては。明日からまた朝練が始まる。瑞は路地を抜けて駅前を目指そうと歩き出した。そのとき。

「あんたみたいなバカとはもう無理!」

ヒステリックな女性の声が聞こえた。飲み屋の前で、一組の男女が言い争っている。痴話げんかだ、と瑞はそれを眺めた。

「待ってミキちゃん、これにはわけが」
「地獄へ落ちろバカタレ!」
「!!」

腰の入ったナイスパンチで、男が吹っ飛んだ。女性は踵を返すと颯爽と去って行く。瑞は衝撃的な場面に出くわしたショックでしばらく動けなかったが、倒れ込んだ男が動かないので慌てて駆け寄った。

「ま、まさか、死…、」
「死んでないよー、生きてるよー、イテテ…」

茶髪の見るからにチャラい男は起き上がった。鼻血をぬぐってヘラヘラしている。さっきの懸賞でもらったポケットティッシュを手渡すと、いたく感謝された。

「ありがとねー、お恥ずかしいところを見られてしまってワハハ!」

恥ずかしいどころか恐怖現場だった。

「浮気って病気なんよ、もう一生治らない気がするわ」
「マジで地獄に落ちますよ」
「いやー!おっしゃる通りー!」