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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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巡り合う街の不確定未来 探偵奇談16

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冬の隙間



冷たい風が、教室の隙間を縫って静かに侵食してくる気配。二月も半ばを過ぎ、校内にはひたすらに静かで穏やかな空気が流れている。高校生活の一年が終わろうとしているのだ。三年生は進路が決まり、一、二年生は進級が決まりホッとしているし、慌ただしい高校生活の隙間の一瞬、ほんのわずかに静かなひとときのような感覚だった。

瑞(みず)は、伊吹(いぶき)がギターを弾いているのを机に肘を突いて聴いている。けだるい昼休み。ストーブの上のヤカンからシュンシュンと蒸気が立ち上っていた。普段はひたすら静かに弓を引いているが、この先輩は、学祭で友だちのバンドの手伝いとやらでギターをぶらさげてステージに立ったりするロックな一面も持っているのだ。

「で、なんだっけ?今度の休みがなに?」

軽音部の狭い物置めいた部屋には、ギターやらベースやらドラムの音が入り混じっている。伊吹は軽音部ではないけれど、ときどきここでギターを弾かせてもらっているそうだ。

「せっかく休みだからどっか行こうよって」
「あー、無理だ。その日はクラスのやつと出掛ける約束だから」
「えー?どこに行くんですか?」

聞けば好きなロックバンドのライブだという。部活も完全休養日だし、この先輩も羽目を外す時間を楽しみにしているようで、いつになくウキウキと話してくれるのだった。面白くない。

「俺も行く!俺も好きだもんそのバンド!ずるいよ!」
「そうは言ってもチケットとれなかっただろ」
「俺のことなんて忘れて楽しむんだ~ひどい~」

そうそう簡単にチケットをとれるようなライブではないのは、瑞だって百も承知だ。おみやげにタオルでも買ってきてやるから、となだめるように伊吹は言った。

「ちぇーだ」
「伊吹~合わそうぜ~」

他の楽器を持った連中が集まり、音合わせが始まる。もう瑞なんか蚊帳の外だ。