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のしろ雅子
のしろ雅子
novelistID. 65457
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9話 あとは野となれ山となれ -何が悔しいって…-

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9話 何が悔しいって… 

 バスを降りようとしたら「お客さん60円だよ」と、声を掛けられた。

 バスには私のほかに後部の方に一人一人の乗客が二人。
 東京では先に支払って乗るが、海辺のこの町では乗車券を取って降りる時に乗車券の数字の下に提示される料金を支払って降りる。
バスの中で両替など不慣れな私は、あらかじめ料金を調べて手に握っている。
停留場が来たのでなおかつ150円の提示金額を見て料金箱に入れて降りようとしたその時…。
「お客さん60円だよ」と声を掛けられた。
降りようとして予期してない時でえっ!?と振り返った。
「150円じゃないんですか?…60円?まあ…すいません、じゃあ あと10円?」
「60円しか入ってなかったから、あと90円…」
「え!?60円しか入ってない?…」
何か手間取ってる事で乗客の人に迷惑かけてる事と60円で降りようとしていると思われている事が恥ずかしくて100円両替して10円だけ持って急いで降りた。

 嫌だ…恥ずかしいと思って逃げるように歩き出して…ン?…

 私はバスに乗る前に駅の売店で370円の買い物をした。 
 バス代150円の料金を知っていたので520円出して150円お釣りをもらった、それでバスを待ったのだ。
 お釣りを間違える訳は無い…100円玉一個と50円玉一個を握ってバスに乗ったのだ。
 私は150円手に持っていたのだ…。
 振り返った時には料金箱にはすでに精算されてお金は入ってなかった。
 普通だったら精算を止めて60円しか入ってないのを見せて納得させて支払わせるだろう。
 市営のバスの運転手が騙すなんて誰が考える?…。
 私が若い頃はタクシーの運転手の質が結構悪くて950円って言われて500円玉入れて硬貨で払うと、袖口からちらっと刺青覗かせて「全部一円玉だよ」と言われて十個の一円玉貰って950円もう一度払わされるようなことが珍しくなくあった。
 あれと一緒だ…。

 私が悔しいのは…今思い出しても歯ぎしりするのは…、
あの運転手も誰にでもやるわけじゃ無いだろう。
 容易(たやす)いと見くびられてやられたのが悔しい。
 凛とした手強そうな人にはやらないかも知れない…。
 ボーっとしてるからやられたんだ…それが何と言っても…悔しい!
手に握られた十円玉見て…あ々…また、悔しい!
今、運転手に思う事は無い…繰り返していればそのうち天罰が当たる、
それは彼が負わなくてはいけない彼の問題だ。
 私は自分の容易(たやす)さ、が情けない…瞬間の判断が鈍すぎる…
動揺してきちっと物事に対応して、応答できる力が無い。
 150円…持ってたとどこかでは思っていたのに…言い返す言葉が出てこない。
 早く降りたい…10円? 90円?…相手に言われたまま支払って慌てて降りる…。
 場から離れて落ち着くと、150円払ったよね…判断が戻ってくる…。
 何が悔しいって…、
緊急事態に陥ってる自分を守れ無い、相手の言いなりになる自分の弱さが悔しい…。