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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 旅行 二話

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美那子は千佳が想像した通り一緒に行くと言えば両親も安心できるだろうと兄との旅行を考えていた。
普通は兄妹なのだから別に親は何とも思わないのだが、自分にはそうは思われないだろうと反対されることを懸念していた。

兄は21歳、自分は17歳。
そんな兄妹で旅行する?
親が一緒ならともかく二人だけで行くって普通なら考えられない。
まして自分から行きたいと思っていることが母親にはどう受け止められるのだろうか。
兄が母親に行かないでと懇願されたら、この話はボツになる。

この頃の兄を見ていて母との距離が微妙になっていると感じていたことも心配の種だった。
美那子は兄の部屋に入って旅行に行きたいと話した。
暫く考えて、二人で行くのはまずいだろうと返事をした。

「じゃあ、誰か一緒に行く友だちを誘えない?」

「カップルでないといけないとなると居なあいなあ~」

「諦めろっていう事?」

「そうは言わないけど、親が良いって言えば行こうか」

「ダメだって言えば我慢しろという事になるの?」

「そういう事だな」

「お兄ちゃんこの頃冷たくなったって気がする。どうして?」

「そんなことないよ。お前こそ変だぞ。何を考えているのか知らないけど、じろじろ見るようになって」

「絶対に何か隠してる・・・」

「またそれか?彼女が出来たわけでもないし、お前を嫌いになった訳でもないのに何故そんなふうに思うのか解らないぞ」

「女の感よ」

秀一郎は美那子が言った女の感という意味がよく解らなかった。
理解できなかったと言った方が正しいのかも知れない。

「今夜おれから母さんに話すよ。許してくれるように頼むから、それでいいだろう?」

「ほんと?でも心配だなあ~」

「なんで?」

「母親って息子のこと気になるって言うからね」

「誰にそんなこと聞いたんだ?」

「ほらコンビニの千佳さんが言っていたの、息子は特別だって」

「ふ~ん、よくわからないけど、母さんはそんなふうには思ってないよ」

「お母さんが思わなくてもお兄ちゃんが思うっていう事もあるよ」

「ええ?おれが?母さんを思うって意味わからないよ」

「私に女を感じたように、お母さんにも女を感じたんじゃないの?」

「バカなことを言うんじゃないよ。母親だぞ、そんなことあるわけがないじゃないか!お前父さんに男を感じるのか?」

「そんなにムキになって怪しいって思う。お母さんこの頃きれいになったと思わない?同じ女だからわかるの。誰かを意識しているんじゃないかって」