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てっしゅう
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官能小説「美那子」 誘惑 一話

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数年がたち、美那子は高校一年になっていた。父親の勧めで女子ばかりの私立に入学した。共学では何か不祥事が起きるのではないかとの余計な心配からだった。
秀一郎は市内の大学に通っていた。相変わらず二人は堂々とデートを楽しんでいる。
顔が違うから誰にあってもカップルに見られる。手も繋いでいるから尚更だ。

両親の耳には兄妹が仲良くしている話ばかり届く。
ある日、父親は職場の同僚の息子が秀一郎と同じ学校だという事がわかり、それとなく話が出た。

「息子がこの前言っていたんだけど、お前んちの息子すごくかわいい彼女がいるっていう話だけど、親父として知っているのか?」

「彼女か・・・実は多分だけどそれは娘なんだ。妹だと思う」

「ええ?妹さん?な~んだ、そうなのか。兄妹が仲良くしているというのは羨ましいよ。俺んとこなんか娘は姉なんだけど、仲悪くて喧嘩ばかりしているよ。それも娘の方が強い。男なのにだらしないっていつも思うんだ」

「喧嘩するというのは仲がいいという事だよ。良く言うじゃないか」

「だと良いけど」

この話には続きがあった。
暫くして再び秀一郎の彼女の話が出た。

「息子から聞いたんだけど、妹って言っていたけど、全然似て無いって言っているんだよ。絶対に彼女だって言い張るんだけど、本当に妹なの?」

「全然似てない?・・・」

父親の彰はそう言われてみればそうだと感じた。小さい頃はそれほど気にならなかったが、高校生になった美那子を見ると、誰に似ているんだろうと考え始めた。
家に帰ってからその日の夜妻が寝室に入ってくるのを待って、同僚から聞いた話を切り出した。

「なあ、美樹、会社の稲田っていう奴のな、息子が秀一郎のこと知っているんだけど、そいつが言うには秀一郎の彼女が、つまり美那子が、兄妹では絶対にないと息子から言われたんだって。理由は全く似ていないかららしいよ。お前どう思う?」

「秀一郎の彼女?それってあなたが言うように美那子の事なの?」

「まあ、容姿を聞いてみるとそうなるな」

「じゃあ、彼女なんかじゃないじゃない」

「そうなんだけど、問題は他人が見ても全く似ていないと言われることなんだよ。気にしなくてもいいとは思うけど、お前がどう思っているのかっていう事を聞きたかった」

「二人が似ていないっていう事の何が聞きたいの?間違いなく私たちの子供よ」