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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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第7章 ことの本質



「秋日子、ここしっかり読んでみ」
 博之は最近ようやく、帰宅後や休みの日に、娘の勉強を見てやる時間を持てるようになっていた。
(俺の時代とは、大分様子が変わってるな)中学受験と甘く見ていたが、国語や算数といった型どおりの問題ではなく、子供の読解力やひらめきを問う、まるでクイズのような問題が多いことに驚いた。

「違うの。これはあんまり関係ないって。問題文読んだら解るじゃん」
「でも趣旨は、Bさんの意見をみんながどうまとめたかだから、AさんとCさんの意見も比較した方がいいでしょ」
「そんなの書いてたら、200文字で終わらないから」
「十分書けるだろ」
「そんなにたくさんのこと、まとめられない」
(どうしてテスト問題なのに、隅々まで読まないのかな?)と疑問に思う博之は、最近の小学校の教育方針ってそんなものなのかと、不安を抱いてしまう。
「怒ってないで、取りあえずやってみ。出来なかったら、どうしたら出来るか考えて、書き直していけばいいでしょ」
「テストで、この問題だけ、そんな時間を使えないから」
「そうか。じゃ思うように書いてみようか」
「ふーーん!(憤)」
(なるほど、経験不足ってのはこういうことなんだ。出来ないと思ってるから、やろうとしない。時間や心に余裕がないから、出来るようにもしない。この子はまだ小学生だ。それも仕方ないのかもしれないけど、こんな考えのままの大人が多いのは恐ろしい話だ。会社の採用試験に、この文章題を出してみてもいいかもな)

「あなた、ありがとう。秋日子の勉強見てくれて」
「ああ、結構工夫が凝らされてるんだな。最近の受験問題って」
 秋日子がベッドに入ってから、博之と妻の知子がダイニングテーブルで、ウォッカにライムを絞りながら話している。
「志望中学が偏差値高いから、あの子も不安になって来てるのよ」
博之はグラスを揺すって、氷をカランカランと回した。
「十分合格圏内だから、心配ないって言ってるんだけどな」
「やってもやっても、やり足りない気がするんだって」
「スゴイ。それは、トップ目指してる人間の感覚だ」
「中学受験は1回限り、絶対ミス出来ないからメンタルが大事でしょ。あの子はそこが弱いから」
濃い目のアルコールを口に含み、ぎゅーっと舌で味わってから飲み込んだ。
「メンタルか・・・」