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てっしゅう
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官能小説「美那子」 初体験 一話

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美那子から過去の恋愛体験を聞かれた母親は言葉を詰まらせていたが、涙を拭いて落ち着きを取り戻すと、少し笑顔になって話し始めた。

「大学生の時にね、好きだった先輩がいたの。彼はすでに彼女がいたんだけど、私とは友達っていうか後輩って言うか、兄のような感覚で仲良くしてくれていたの。彼女と三人でご飯食べたりもした。その時は複雑な気持ちだったけど、ある時ね、私の性体験を聞かれた。恥ずかしかったけどバージンって言ったら驚いていた」

「ええ?そんなこと聞かれたの。男の子って興味があるのね」

「そうなのかもしれない。今考えると先輩は私が遊んでいたと見えたのよね。結構派手な服装が好きだったからそう思われていたのかも知れないけど、ある時誘われて二人だけで会ったの。その時に付き合っている彼女と別れようと思うって相談されて、戸惑った」

「お母さんを誘惑しようと考えたのね、酷い人。お母さんは美人だから狙われたって思う」

「それはどうか知らないけど、後から先輩が彼女と仲良くしているのを共通の友人から聞いたから、私は遊ばれたんだって感じた。変なこと言わなければあんなことにならなかったと思うと、情けない。好きな人だけに余計に辛かったわ」

「その時の経験がお父さんからの誘いにもためらいになったんだね。本当に好きだと思えたからお母さんは許したんだと思うと、過去の経験は決して無駄になったとは思えないよ。偉そうに言うけど、お母さんは幸せだと感じられる」

「美那子、ありがとう。あなたも大人になったわよね、お母さん嬉しい。秀一郎も優しいし、お母さんもお父さんも本当に幸せに思う」

「お兄ちゃんは本当に優しい人ね。兄じゃなければ好きになっていたと思う」

「まあ、そんなこと言って。そういえばいつも一緒に遊んでいたわよね。あなたが大人になったから秀一郎はちょっと寂しく感じているかも知れないわよね。あの子も彼女そろそろ出来ればいいのにね。そんな話聞いてない?」

「彼女の話?聞いてないよ。カッコいいし優しいからモテると思うけど、関心がないのかなあ」

「アルバイトして出会いがあるかも知れないよ。どんな子が彼女になるのか楽しみだわ~」

美那子は母親にそう言われて素直に喜べなかった。
でも、智之とは友達として付き合おうと思っていた。それは、自分を試そうとする気持ちでもあった。
彼の優しさが本当ならその先何が起こっても受けとめようという気持ちがあったからだ。

母親に相談したあと、美那子は考えが少し変わって智之のことを兄に話した。