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逆行物語 裏六部 ~それぞれの想い~

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ジギスヴァルト~次期ツェント~



 「父上、では次代ツェントは…、」
 それは解りますが、現実的に考えれば、グルトリスハイトを手に出来る可能性が一番高いとのは、私やアナスタージウスではなく、エグランティーヌです。しかし彼女は父上の直系血筋ではありません。彼女を筆頭に置けば、我々の立場も目まぐるしく変わります。変化は容易に世を乱れさせます。

 …尤もツェントになりたいと言う想いも否定はしませんが。

 しかし故にこそ、世の乱れを起こす訳にはいかないとも思います。エグランティーヌはそれを恐れ、顔色を悪くしています。
「…ヒルデブラントしかおらぬ。」
「え。」
 父上の言葉に、ヒルデブラントがキョトンとして見詰めております。やはり、と言う思いが胸に広がります。エグランティーヌ以外なら、まだシュタープを得ていないヒルデブラントが一番、魔力量を上げ、加護を得て、属性を増やし、祠巡りを行う、グルトリスハイトを得る為の一連の必要事項を習得しやすいのです。
 それにまだ幼いヒルデブラントは政務に追われる事も無い為、勉学にも時間を割く事が出来ます。
「色々と対応が必要となるが…、それについては追々、アーレンスバッハと話し合おう。ヒルデブラントを次期ツェントとして、教育を開始したい。」
 アーレンスバッハ…、ヒルデブラントの将来、行く領地です。
「しかしツェント、ジギスヴァルト王子が次期ツェントと言う予定でした。そこを変更すればまた、何らかの反対が出るのでは…。」
 マグダレーナ様が遠慮がちに言われました。
「多少の反対は黙らせる。ジギスヴァルトと第一夫人の男児をヒルデブラントと養子縁組をさせ、ヒルデブラントの次のツェントとして養育する。これでジギスヴァルトの血が残る。」
 …私、まだ第一夫人も迎えていませんが。しかし父上の言う事も分かります。ドレヴァンヒェルから迎える花嫁との間に男児を設け、行く行くはアナスタージウスとエグランティーヌの間に女児が生まれれば、その子を第一夫人に、年が離れるであろうヒルデブラントの子に女児がいれば、第二夫人になって貰えば、後ろ楯となる大領地も納得するでしょう。
 夢物語と一笑に伏せられるくらい、楽観的な未来予想ではあります。恐らく実際には新たな問題が生まれるでしょう。しかしそうなれば、その時、皆で一丸となり、立ち向かえば良いのです。
 私は父上の提案に頷きました。斯くして未来、私はアドルフィーネ、ナーエラッヒェと共に、ツェント候補を育てる事になるのです。