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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第三十六話

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85年の事件当時に内藤義男と同僚だったジャーナリスト達はほとんどが死亡しているか、現役を引退してそれなりの時間が経過して記憶も定かではなくなっていた。
ツイッターやフェイスブックに寄せられる書き込みは、そのほとんどが「父親が見つかるといいですね」という励ましの文章だった。

たとえ父親と親しかった友人や仕事仲間がいたとしても、自分の仕事内容を全部話していたのかと言うとそうではなかったように思える。
特に機密事項であればなおさらだろう。

諦めざるを得ないような心境になっていた内藤肇に一本の電話が掛かって来た。
それは遺族会の平山からだった。

「内藤さん、平山です。お伝えしたいことがあるのでお電話しました。今宜しいでしょうか?」

「平山さん、大丈夫ですよ。どうされましたか?」

「実は魔王で私に情報をくれた元自衛官の方から、国会中継を見ていて内藤さんのお父様の事で知りうる話があると今朝に聞かされたんです。それで、午後にでも魔王で会って話したいとお願いをして待ち合わせの約束をしました。梓さんもご一緒に来て頂けますでしょうか?」

「それは本当の事ですか?どんな情報なのか聞かれましたか?」

「詳しくは会ってお話されたいという事でした。彼は、事故当時現場にいて救助活動をしていた一人なんですが、甲府の駐屯地で上官たちがすでに一人女の子が救助されているらしいという話を交わしていたのを聞いてしまったというんです。
もちろん、その話の内容は表に出ることが無かったので彼も詳しく聞くに聞けなかったと言います」

「そうでしたか。まもなく自衛隊の中に間違った噂話として否定されて、一切表に出ることが無かったと思える。他にも知っていることがあるかも知れないから、ぜひお会いしたいと伝えてください。梓と一緒にタクシーで向かいます」

内藤と梓は、ホテル側に内緒でチェックアウトしたいので、タクシーではなく地下の駐車場からレンタカーもしくはホテル側の自家用車で出掛けたいと申し出た。
早朝よりすでに数名の記者たちがロビー内や外にいる様子を知っていた支配人は、特別の措置として、従業員出入り口から目立たない格好で二人をホテルの社用車に乗せて外に出ることを約束してくれた。

魔王に誰にも知られずに二人は到着した。
既に平山が来ていた。軽く挨拶を交わしてテーブルに着くとまもなく約束した元自衛官と思しき人物が入って来た。
ママが三人の元へと案内してきた。