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テイルズオブジアビス 星の願いが宿る歌

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3 変動


 よく見知った中庭。柔らかな日差しの下で、額に浮かぶ汗を拭うと目の前の人物が優しく笑った。
「随分太刀筋が良くなったな、ルーク」
────へへ、そうかな。師匠(せんせい)の教え方がいいんだよ
 こそばゆいような感覚に戸惑いながらも、嬉しさで頬が緩む。鼻の下に人差し指で触れて照れ隠しをした。
「だがまだまだ右側面からの打ち込みに対する防御が甘いな。手首の返しが堅い」
────なんだよ、褒めてくれたんじゃなかったのかよ…
 手のひらを返したかのような師匠の言葉にがっくり項垂れる。不満を少しも隠そうとしない自分に師匠は小言を重ねた。
「慢心は剣を鈍らせる。驕り高ぶること無く…」
────常に精進せよ、だろ?もうわかったって師匠
「全く…」
 やれやれと肩をすくめるその表情は優しい。
────それより師匠!そろそろ新しい技教えてくれよ!
「今日はもう終わりだ。またの機会にな」
────ええー!もう終わりかよ!つまんねえの…
 剣の稽古が終わればあとは退屈な座学が待っている。変わり映えしない生活の中で、師匠と過ごす時間だけが唯一の楽しみであったため、終わる時は毎度不満を口にした。
 口を尖らせる弟子の頭に手を置いて、師匠は言った。
「ルーク、お前の剣はいずれ世界のために必要になる。自分の為だけでなく、他人(ひと)のために振るえるようになりなさい」
 大きな手が離れ、師匠の顔を見上げると切れ長の青い瞳が自分を見つめていた。
────師匠の話は、時々難しくてよくわかんねえよ
 ぷい、と顔をそむけて頭の後ろで手を組む。
「困った弟子だ」
 ふっと微かな吐息が聞こえる。ちらっと横目で盗み見た師匠の顔は、やはり優しかった。