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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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LOVE BRAVE外伝Ⅲ

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花の国「フローリア」


 トンネルを抜けたちびLOVE BRAVEが見た光景は、春そのものだった。草原の上をモンシロチョウやミツバチが楽しそうに舞い、そよ風のアシストで綿毛が宙をふわふわと漂っている。50メートルほど先には、薄い色と濃い色が共存する花畑もある。4人は、感嘆のため息をついた。そのあと、競走をするように全員で走り出し、フィルとスティーブンはそのまま草原を元気に駆け回った。ヒューゴとジミーは草の上で寝転がって伸びをした。

 フィルとスティーブンがはしゃいでいると、綿毛のかたまりのような生物が飛んできた。
「あ、何だろう。綿毛かな」
 フィルが言うと、その生物が話しだした。
「どーも!僕、ワタキチ。フローリアの住民なんだ」
「わぁ、綿毛がしゃべった!」
 彼は驚いたが、すぐにワタキチに向かってジャンプして手を伸ばした。彼の行動に、ワタキチも驚いた。フィルは3回目のジャンプでワタキチを捕まえ、手のひらに載せて笑顔で言った。
「僕、フィル。一緒に遊ぼうよ!」
 彼の態度にワタキチも笑みを取り戻し、彼の手のひらからふわっと飛び立つと、2人と1匹で鬼ごっこを始めた。

 フィルがワタキチを追い掛けている途中、遠くのほうに何か建物のようなものを見つけた。
「あ、あそこに何か見える」
 そして、ワタキチに聞いてみた。
「ねえワタキチ、あっちにお城みたいなのが見えるけど、あれは何?」
 ワタキチがフィルの向いている方角を見ると、
「ああ、あれは『妖精の神殿』だよ。あそこには、宝物が隠されてるらしいんだ」
 それを聞いたフィルは一層目を輝かせて言った。
「宝物だって。何だかすごそうだなぁ!」
「そうですね。4人で行きましょう!」

 彼らの声を聞いてヒューゴとジミーも目を覚ました。
「あっ、ヒューゴたちも起きた。よし、『妖精の神殿』へ行こー!!」
「おおおーー!」
 みんなを代表して、フィルがワタキチにお礼を言った。
「ワタキチ、楽しかったよ!どうもありがと~!」
「ううん、僕もみんなで遊んで楽しかったよ!また遊ぼうね!」
 ちびLOVE BRAVEは、ワタキチに向かってしばらく手を振ったあと、「妖精の神殿」へ歩いていった。
作品名:LOVE BRAVE外伝Ⅲ 作家名:藍城 舞美