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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第十九話

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内藤と梓がアメリカへ旅立った後、本国に戻ったエイブラハムは国王と次の手を踏み出そうと話し合っていた。
そこには内藤が日本の裁判に出席することを絶対に阻止させたいという意思が見え隠れする。

エイブラハムはストリーツカとの契約で内藤の技術が完成を見た段階で、アメリカ軍への納入金額の5%をマージンとして受け取る約束をしていた。
その見返りとして、日本政府に対して85年当時のアメリカ軍が計画していたイスラエルへの核兵器貸与の事実を裁判で明らかにしない、つまり内藤と梓を出廷させないよう監視する、もしくは妨害することを確認していた。

エイブラハムは再び日本へ戻った。大使として赴任すること以外に早急に根回しをする必要があった。
外務省の次官級と交渉を行ない、国外追放をした内藤と梓に決して入国許可を与えないように要望書を手渡した。
その最大の理由として、85年の墜落事故におけるアメリカ軍と自衛隊の不手際を表沙汰にしてはいけないと挙げていた。

遺族会からの再三の異議申し立てを却下する裁判所の姿勢に変化が無いようにすることも付け加えていた。
万が一マスコミにこの隠された情報が渡るようなことがあれば、国会が大騒ぎになることも予想される。それは時効になっている事案とはいえ政府与党には不都合な事実であることには間違いはない。

アメリカ大使館職員であり、梓が内藤の保護を依頼した人物はレイチェルというユダヤ人で今回の一連の出来事をその組織上層部から伝え聞いていた。
銀座のクラブ魔王での信頼関係を裏切ったような自分の態度にお詫びをしたい気持ちに駆られていた。梓は自分を信用していてくれた。それなのに自分はエイブラハムとの取引に応じてしまった。

梓の安全を最優先に考えたことがエイブラハムの術中にはまったということを悟ったのだ。
魔王にやって来たレイチェルは梓へ連絡のためにママにメールアドレスを尋ねていた。理由を聞かれてアメリカに居る梓のために情報を提供したいと答えたその表情に嘘が無いと感じ、教えた。

「あなた!レイチェルさんからメールが来たわよ。ほら、アメリカ大使館へあなたの保護をお願いした大使館員の人」

「ええ?連絡先を知っていたのか?」