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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第十七話

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内藤の強い口ぶりにストリーツカはすべてを話さないと交渉は締結できないと覚悟をしていた。

「そうですね。それは私も同じ考えです。内藤さん自身がアメリカ軍とのかかわりを持たれていなかったら、もうすでにこの事業は完成を見ていたのかも知れません。正直に言いますとエイブラハムさんからもたらされた内藤さんの技術は自分が手に入れないと、いやアメリカが手に入れないと危険だと感じました。そのことが尾を引いているのです」

「そうでしたか。私は日本で完成させても使い方を持て余すと憂慮してきました。それは平和的な利用より軍事的な利用に重きを置かれることだからです。そうなると提供先はアメリカしかないと考えました。エイブラハムさんからの資金援助で、ニューイスラエル経由でアメリカに渡ることは承知をしていました。アラビア国からの真の独立もこの技術から得られる資金で少しは叶えられるとお互いの思惑が一致していたのです」

「内藤さん、アメリカはあなたの技術が他の国に渡ることをきっと妨害します。そのためならあの飛行機事故のように手段を選ばないでしょう。それでも条件が合わなければ契約しないとの強い意志をお持ちですか?」

「ストリーツカさん、あなたは自分の信念や無念を忘れて、すべてを国家やビジネスのために捧げられますか?」

「内藤さんの思いは理解しているつもりです。しかし、日本国とアメリカという大国の思惑がそれを阻止しているという現状を考えると、私なら大切な妻と家族のために断念せざるを得ない判断に至ると思います」

「それはほとんどの人がそう考えると思います。私は父を拉致されその行方も分からないままです。それを説明しろと何度も訴えましたが、そのような事実すらないと言われる始末です。アメリカ大使館で拘束されたときに聞いた事故の真相は今の自分の信念をより強固に変えました。父の無念を晴らすことは私の人生であり、アンドロイド技術はそれを実行するために持つ手段だということを忘れないで下さい」

「わかりました。アメリカ政府は裁判をしないという条件下で日本への帰国を保証するとしています。そこまでは引き出せましたが、無条件での帰国は難しいということです。私たちは内藤さんの技術を完成させ、実際に製品化させたとき日本への帰国を約束させています。もし許されるのなら、アメリカ軍が独自に85年の厚木基地でのミサイル誤射を検証し、その事実関係を公にするということならのんで頂けますか?」

「アメリカ軍があくまで誤射をして事故につながったと言うだけでは納得できません。問題は私の父親の行方です。50年も昔のことですから、真実を公表しても天地がひっくり返るようなことにはなりません。現内閣が責任を問われるようなことになりかねませんが、過去を清算することは避けて通れません。事故の遺族会が再三抗告している事案を裁判所が取り上げ、再審を開始することが最低条件です」