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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第十三話

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ストリーツカはエイブラハムの視線を気にしながら答える。

「お考えは解りました。本国に持ち帰って検討させて頂きます。我社は内藤さんとの取引に際して、ニューイスラエル国家とエイブラハムさんが後ろ盾となっていることが条件です。つまりここに居るエイブラハムさんは保証人ということになります。それはご承知おきください」

「了解しました。良いお返事を待っています」

握手を交わしてストリーツカと内藤は別れた。
梓はこの話がうまくゆけば内藤がアメリカで何をしたいのかと尋ねた。

「梓、アメリカは自由の国だ。世界に正義を示さないといけない国家でもあるんだよ。そこが美点でもあり重荷でもあるんだ。私はアメリカ軍のあの墜落事故での対応が許せない。どのような作戦で訓練をしていたのか知らないが、捕らえられた時に聞いた話が本当なら、最初から民間機を墜落させることが目的だった訓練になる。このことは裁判でも語られることが無いからボクたちが明らかにしないといけないんだよ」

「あなた、アメリカに渡れたとしてそのあとどのような方法で日本へ戻るという考えがあるの?」

「それは、自分の研究をつづけながら、アメリカの常識ある人たちに過去の過ちを糺すことを訴え続けることだと思うんだよ。国連で大使が発言してくれたら調査委員会が出来て日本はその証人として私と梓を受け入れないといけなくなる。その役目をエイブラハムさんに頼みたい。ニューイスラエルから発議されて、各国が日本のそしてアメリカの名誉にかかわる問題だと騒ぎだしたら、必ず調査委員会が設置されるだろう。その時にアメリカ国内に居た方が動きやすいんだよ」

「そういう考えなのね。ここに居て身の危険が迫るというわけでもないと思うけど、何故アメリカがいいの?」

「エイブラハムさんが国連に出掛けてしまったここでは、安全の保証はないよ」

「そうね、そういうことは言えるかも知れないわね。アメリカの方が危険も多いけど安全も確保しやすいと考えているのね」

「ああ、ストリーツカさんの会社に居ればとりあえず安全は確保されるよ。あの会社は国防関係の仕事も引き受けているから警備は万全だよ」

内藤の考えていることはそのどれもが梓にとって感心させられることであった。
用意周到に考えていた内藤は一つ見落としをしていた。
ストリーツカが念を押したエイブラハムとニューイスラエルが保証人だという言葉の裏側に隠れていることだ。