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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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第9話 ついに激突!? 光と闇の魔法つかいプリキュア!


 みらいとリコは校長室で商店街であった事を報告していた。水晶を片手に聞いていた校長は話が終わると言った。
「やはりあの二人が黒いプリキュアであったか」
「やはりって、校長先生は知っていたんですか?」
 リコがまさかと思って聞くと、校長は頷いていった。
「ここで初めて会った時にな。互いの学校での生活を考えて、あえて君たちには明かさなかった。それに、わしの考えが間違いであってほしいという気持ちも何処かにあったのかもしれぬ」
「みらいはもっと前から知っていたのよね」
「うん……」
 伏し目がちなみらいに、校長は微笑を見せて言った。
「そうか。それでも友達として接してくれた君に、あの子たちは感謝しているだろう」
「本当にそうなのかな?」
「うむ、間違いない」
 校長が断言すると、みらいはようやくいつものような明るい表情に戻った。それとは逆にリコが陰のある表情で深刻そうに言った。
「プリキュアが敵になるなんて……」
「本当に彼女らは敵なのだろうか?」
 校長が言うと、みらいとリコが同時に校長を見つめる。
「真に君たちの敵となる者を魔法界が受け入れるとは思えぬ。しかし、謎が多すぎるな。宵の魔法つかいプリキュアが何のために存在するのか。必ず意味があるはずだ。それに君たちが見たという彼女たちの魔法も気になる」
「全く違う二つの魔法を合わせて強力な魔法を生み出すなんて、そんな魔法が存在するのでしょうか?」
 そういうリコに校長はしばし考えてから答える。
「そのような魔法が使われたという証拠は魔法界には存在せぬ。だが、ほんのわずかだが、そのような魔法を目撃したという記述ならある」
「お願いします、それを教えてください!」
 リコは我知らずに前に進み出て校長に迫っていた。彼女はダークネスとウィッチに関する情報を少しでも得たいと思っていた。その時、校長の右手の上に浮かんでいる水晶から魔女のシルエットが現れた。
「それならわたくしがお答えしますわ。これは闇の魔法の時代、草創期の非常に古い書物の一説ですわ」
 みらいとリコが緊張しながら水晶の声に耳を傾ける。
「二つの魔法から生まれし比類なき力、我が闇を滅せん。我、もはや恐慌なり。以上ですわ」
 たったのそれだけ? みらいとリコはそんな言葉が分かるような顔をしている。
「それらしき記述はこの一文のみ。しかし、これだけでも分かることはある。記述者は自分の闇が滅ぼされたと言っているところから、恐らくその時代に生きていた闇の魔法つかいであろう。その者は比類なき力を恐れていたのだ。つまり、二つの魔法から生まれし比類なき力を持つ者は、当時の闇の魔法つかいと戦っていたと考えられる。やはり、古き時代には何かがありそうだのう」
 それはあまりにも漠然とした話でリコは少しがっかりした。彼女は敵になるかもしれないダークネスとウィッチのことをもっと知りたいと思っていた。
 校長は水晶を傍らに置き、みらいとリコがを順番に見ていく。その顔が少し怖い感じで、二人は怒られるのかと思った。
「よいか、あの二人とは戦ってはならぬ」
 その場の空気が緊張して二人が固唾をのむ。プリキュア同士の戦いが危険であることは二人ともすでに承知しているが、校長の話はそんな単純なものではなかった。
「プリキュアの力は絆の強さで決まる。君たちも、そしてあの子たちも、互いに強いきずなで結ばれておる。恐らく力は互角、戦えば勝者などなく互いに滅するのみ」
「戦わないで済むならそれが一番です。でも、戦闘になる可能性は考えなければいけないと思います。いくらわたしたちが戦わないようにしても、むこうから襲ってきたら応戦せざるを得ませんから」
 リコがはっきりそういうと、校長は目を閉じて瞑想するように考え込んだ。
「わたし、小百合やラナと戦いたくないよ……」
「わたしだって出来れば戦いたくないわ」
 校長がしばらくして目を開けると言った。
「戦いがどうしても避けられぬ時は大きな魔法は使わぬことだ。君たちの全力の魔法がぶつかりあえば、君たちはおろか、周囲のものまで消えてなくなるだろう」
「よく肝(きも)に銘(めい)じておきます」
 リコは校長の言うことを絶対に守ろうと心に誓った。先刻見たダークネスとウィッチの合成魔法を思い出し、それと自分たちの大魔法がぶつかりあったらと考えると身の毛がよだった。

 間もなく学校が始まる時間に小百合はリンゴ畑で二つの籠と2本のハサミをつかって収穫していた。ラナはリリンを抱きながら家の壁によりかかってぼーっと小百合の姿を見ていた。やがて二つの籠がリンゴでいっぱいになり浮いていたのがゆっくり降りてくる。小百合は籠を完全に地面におろすと魔法の杖を下げて一息ついた。
「ねえ小百合、本当に学校にいかなくていいの?」
「行かないんじゃなくて、行けないのよ」
「どうして?」
「わたしたちの正体が明らかになって、わたしたちがリコとみらいの敵だとはっきりした以上、学校に行けないことくらいわかるでしょ」
「せっかくお友達がたくさんできたのに……」
 ラナが残念そうに言うと、小百合がリンゴの入った籠を両手に持ってきて、それをラナの前においた。朝の光が籠のリンゴを燃え立たせ、小百合の白い肌や長い漆黒の髪を宝石のように輝かせていた。
「校長先生は伝説の魔法つかいの味方よ。その敵であるわたしたちが魔法学校に行けるわけないわ」
「小百合は本当にそれでいいの?」
「……よくはないわよ。お世話になった校長先生やリズ先生には申し訳ないと思ってるわ。でも、今はその事は忘れて、わたしたちがやるべき事に集中しましょう」
「今やれることっていったら、その美味しそうなリンゴを食べる!」
「闇の結晶を集めんのよっ!」
 暴風のような激しさで言葉を浴びせられて、ラナは気合が入るどころかお腹を押さえて可愛らしい顔に最大限のやる気のなさをにじませる。
「はう〜、お腹すいたよぅ」
 小百合は胸のふくらみの下で腕を組んで仕方ないというように、
「朝食を作るわ。このリンゴでアップルパイをね」
「うわ〜い! ラナも手伝うよ〜」
 家の中で小百合とラナの共同作業が始まった。リリンがベッドの上に座って二人の様子を見ていた。
「小麦粉は下じゃなくて上の棚よ」
「う〜っ、手が届かないよぉ」
 ラナが一生懸命背伸びしても、上の棚の扉の縁に触れるのがやっとだった。背の高い小百合が代わりに小麦粉の袋を取り出す。
「お砂糖はどこだっけな〜」
「砂糖は左下の棚よって、なんで自分の家なのに、こんなに何も知らないのよ」
「お料理はおばあちゃんが作ってたからね〜」
 小百合はこういう状況を予想していたとはいえため息が出た。この家に10年以上も住んでいるラナよりも、ここにきて3ヶ月にもならない小百合の方が家のことを熟知(じゅくち)していた。それからも共同作業が続く。生地を作ってこねたり、リンゴを切って並べたり。小百合は作業に魔法を一切使わなかった。アップルパイ程度に魔法など必要ないという考えもあったが、一番はラナと一緒に最後までやりたかったからだ。