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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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第1話 ミラクルでマジカルな出会い再び!


 朝日奈みらいは、いつものように登校していた。鞄を前に持ち、歩くのに合わせて彼女のベージュのブレザーや裾に白いストライプの入った明るい紅色のスカートが揺れ動く。
 みらいは商店の前で立ち止まり、ガラスに映った自分の姿を見て胸元にあるピンクのリボンタイの位置を少し直した。それからまた歩き出すと、他校の男子生徒が可愛らしい少女が歩いてゆく姿に目を奪われて足を止めた。彼はみらいの顔と、その次に歩く度に交錯する足に魅入る。みらいは革靴の下に左右にピンクのハートの刺繍が入った白いハイソックスはいていて、その可愛らしいデザインがよく似合っていた。みらいはそんな男子の姿にはまったく気づいていない。最近は前に見た黒いプリキュアのことばかり考えていた。
――あのプリキュアたちはどこからきたんだろう? どっかの誰かがプリキュアになっているんだとしたら、津成木町に住んでる人なのかな? それに、どうやって変身してるんだろう? やっぱりぬいぐるみ?
 下を向いて考えてばかりいたみらいは、前からきた誰かと衝突してしまった。
「わっ!?」
 みらいが尻餅をついて見上げると、長い黒髪の美少女がこちらを見ていた。
「あなた、大丈夫?」
「ごめんなさい! ちょっと考えごとしてたらぼーっとしちゃって」
 その時、ちょうどみらいの目線に黒髪の少女の鞄から顔を出す黒い猫のぬいぐるみがあった。みらいは思わずそのぬいぐるみをまじまじと見つめた。黒猫の赤い星マークが入った青い瞳に見られているような気がした。
「さあ、立って」
 黒髪の少女が手を出し、みらいはそれを握って立ち上がる。
「ありがとう」
「気を付けて歩きなさいね。ぶつかったのがわたしだから良かったけど、車だったら大変よ」
 彼女はそういってみらいの前を歩きだし、隣にいたレモンブロンドの少女がいった。
「小百合にあたって女の子が吹っ飛んだよ、小百合は鉄の女だね!」
「あんた、失礼ね!」
 みらいはそんな二人の少女の後姿を見て微笑する。あの二人はとっても仲がいいんだなと思うと、親友のリコのことを思い出して急に寂しくなった。

 みらいが教室に入り席に座って教科書などを確認していると、黒髪を髪留めで左右に分けてまとめている小柄な少女がすごい勢いで走ってきた。
「みらいーっ!!」
「ど、どしたの、かな?」
「大変よ、近くの中学校で正義の魔法つかいが出て怪獣を倒したんだって! 街中で噂になってるわ!」
「今、魔法つかいっていいました!?」
 かなが何度も頷くと、みらいはとても楽しくなり心の底から湧いてくる気持ちを声にした。
「それは、わくわくもんだね!」
「でしょーっ! 放課後にまゆみと一緒に正義の魔法つかいの真相を究明するわ。みらいも一緒にいくでしょ!」
「もちろんだよ!」
「よーし、やるわよ! 最近、魔法つかいが現れなくなって寂しかったから、もうやる気止まらないわ、今すぐにでも聞き込みしたいくらいよ!」
「放課後が楽しみだね!」
 かなは一年ほど前から魔法つかいを追って聞き込みなどをしていたので、その魔法つかいに対する情熱は半端なものではなかった。一方でみらいは正義の魔法つかいの正体はあの黒いプリキュア達じゃないかと思っていた。もしそうなら、あのプリキュア達が何者でどこからきているのか知りたかった。

 放課後、着替えもせず鞄も持ったままでみらい達は正義の魔法つかいが出たという私立の中学校に向かっていた。
「鞄くらいは置いてきても良かったんじゃないの?」
 前髪をお気に入りのヘアピンで止めている栗色の髪の女の子が言った。彼女はまゆみと言って、みらいとかなとは親しい友達であった。
「ダメよ、家になんて帰ってたら学校の生徒がいなくなっちゃうわ。なんとしても下校時を直撃するんだから!」
 魔法つかいの出現の噂に燃えまくるかなに、まゆみはもう何もいえなかった。こうなってしまっては、もう黙って付き合うしかないのだ。魔法つかいに対する彼女の情熱はもはや誰にも止められなかった。
「聖ユーディア学園って、頭もいいし、生徒にはお金持ちが多いって聞いたことあるよ。なんだか緊張するなぁ」
「そんなこといってたら聞き込みなんてできないわ! さあ行くわよ!」
 かなはみらいに言って走り出した。かなのテンションについていくのは大変だが、みらいもまゆみも噂の魔法つかいには興味津々だったので、かなと一緒に走って聖ユーディア学園に向かった。
 例の学校に近づくと、下校する生徒の姿が見られるようになった。かなは手帳とペンを手に臨戦態勢へ移行し、聞き込みの対象を物色しはじめた。
「まずはあの二人に話を聞いてみましょう! 黒髪の大和撫子と金髪の美少女なんて、いかにもなにかありそうじゃない」
「あ、あの人、朝ぶつかっちゃった人だ」
 かなが最初のターゲットに選んだのは、今朝みらいが出くわした小百合とラナであった。二人は会話しながら歩いていた。
「ねえ、小百合、公園によっていこうよぅ」
「そっちは遠回りなんだけど」
「いこうよぅ、公園」
「はいはい、イチゴメロンパンね」
「なんでわかったの!? もしかして本当は魔法つかいでお告げがあったとか!?」
「一緒に生活してれば、あんたの単純な思考なんて読めるようになるわよ」
「今、魔法つかいっていいました?」
 いきなりみらいに話しかけられて、小百合は少し驚いて立ち止まった。その時、ラナが胸のところに置いた拳に力を込めていった。
「はい、いいました!」
「げっ!?」
 ラナの予想の斜め上をいく行動に小百合は変な叫び声と一緒に冷や汗が出てくる。
「おお、いいましたか!」
「はい、いいましたよ!」
 小百合は変なシンクロを見せるみらいとラナの間に割って入った。
「別に深い意味はないわ、話の流れでそういう言葉が出てきただけよ」
 小百合が出てくると、みらいはいきなりしゃがんで小百合が持っている鞄の方を見つめる。
「可愛いぬいぐるみだね、黒猫さんだねぇ」
 みらいは小百合の鞄から顔を出している黒猫のぬいぐるみを見ていると、やっぱり見つめられているような気がした。小百合は予想外なみらいの行動にさらに焦って鞄を後ろに隠した。
「デビ……」
 その声を聞いたみらいの動きが一瞬止まる。
「今、かばんの方から声が聞こえたような……」
「まさか、そんなわけないでしょ! きっと空耳よ!」
 小百合は冷静さを装ってみらいにいったが、内心は焦りまくっていた。ラナが余計なことをいいそうなので気が気ではない。なんとかこの場を逃れたいが、いきなり走って逃げだしたりすると余計に怪しまれる。どうにかしなければと小百合が考えていると、まゆみがラナの方を見ていった。
「その腕輪、可愛いわね」
「いいでしょ、小百合とおそろいなんだよ!」
「ふたりでおそろいの腕輪なんて、なんだか意味ありげね」
 小百合の心配が現実のものとなっていく。腕輪のことには一番触れてほしくなかったのに、ラナは平然とそれを見せびらかしていた。
「おそろいの腕輪かぁ」
 みらいは胸を押さえていった。制服の裏側にはいつも肌身離さず持っているリコとお揃いのペンダントがあった。みらいは目の前にいる二人が、自分とリコのような親友同士なんだろうなと思った。