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MEMORY 尸魂界篇

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14,真相





 双殛の丘の騒動から数日後、完全ではなくともある程度回復した怪我人と関係者が集められ、事実関係を明らかにしようと場が設けられた。
 長丁場になる事と、ある程度回復したとはいえ完全回復したわけでもない怪我人の為に、一番隊舎に集められた面々は、隊首会が開かれる広間ではなく、元柳斎が執務を行う隊主室に通された。急遽幾つかの長椅子も持ち込まれる。
 豪華な設えに気後れする者、隊長と同じ椅子になど座れないと遠慮する者、気兼ねなくいたいとする者など、立っている者も床に座り込む者もいる。床に座ろうとした織姫もルキアも、女性の身なのだからと卯の花に窘められて、一護の隣で長椅子に座る事になった。
 元柳斎が正面で執務用の椅子に座り、左右の斜め後ろに砕蜂と雀部が立ち、正面の長椅子に、ルキア、一護、織姫が座り、茶渡、雨竜、花太郎が後ろに立ち、夜一、空鶴、岩鷲が足許に腰をを下ろした。
 元柳斎に向かって左側の長椅子には、やちる、冬獅郎、白哉が座り、やちるの隣の床に剣八が座り、一角、弓親、乱菊、恋次が後ろに立つ。旅禍及び藍染達と交戦して傷を負った者達が集まっている。
 元柳斎に向かって右側の長椅子には卯の花、京楽、浮竹が座り、卯の花の隣に狛村が床に座り、浮竹の隣の床に清音と小椿が座る。狛村の後ろから、射場、檜佐木、勇音、七尾、吉良、大前田が立ち並ぶ。
 強制的に中央の床に座らされたのはギンで、一護が掛けた縛道は解かれない儘、霊枷も嵌められている。乱菊の手から逃れ様と図った事が信用を失った。
 出席者は、事態に深く関わった者から雛森桃を欠いた者達だ。

「さて事実確認から進めるとしようかの。」

 元柳斎の一声に、口火を切るべきが誰なのか、から躓いた。

「突き詰めれば、百年前の一件まで遡る事になるけど、今回の件はルキアが現世駐在任務に就いたところからで良いんじゃね?」

 一護のアドバイスに、元柳斎が気を取り直したように咳払いする。

「黒崎一護、というたかの?」
「何か? 総隊長さん。」
「この件は、朽木ルキアが死神能力を譲渡した事から始まっておる。」
「そう見える事態を藍染に利用された、が正解だね。」
「朽木ルキアは死神能力をお主に譲渡しておらぬ、と言う心算かの?」
「ルキア自身半信半疑だから無理もないけどね。」

 一護は腕を組むと、少しの間唸っていたが、やがて溜息を吐いた。

「兎に角、私としては、ルキアを双殛で処刑しようって案件自体が、藍染の企みだと認めて撤回してくれたらそれで良い。」
「死神能力譲渡に関しては………。」
「抑々それが冤罪、言い掛かり。そう見える事態を藍染に利用されただけなんだ。」

 元柳斎の言葉を遮って、一護は溜息を吐く。

「冤罪?」
「言い掛かり?」
「現世の生き人である君が、死神の力持ってる時点で、譲渡以外に考えられる理由がないじゃない?」

 元柳斎も、浮竹も、納得がいかないという表情だ。京楽の指摘に、一護は苦笑する。

「死神能力譲渡の場合、譲渡された側の霊圧は、譲渡した側の霊圧に準ずる、じゃなかったっけ?」
「まぁ、うん。そうだね。」

 浮竹の相槌に、一護は肩を竦めた。

「確かにルキアは実力に見合わず無席だったみたいだけど、卍解出来るほど霊圧高かったか?」
「!」

 一護の指摘に、それまで現世の生き人が死神能力を有している事に目を奪われていた者達が気付く。
 一護はギンの顔をちらりと見る。ギンは敢えて口を開く心算はないようで、神妙な表情で黙っている。
 一護は諦めたように溜息を吐いて口を開いた。

「取り敢えず、順に辿って行って、判らない事とか後に繋がる事で説明を要する事はその都度説明を入れるって事で進めていけば良いか?」
「……良かろう。」

 元柳斎の許可も出て、一護は事態を説明し始めた。

「ルキアの着任初日だと思うんだが……。」

 昼間、虚を魂葬するルキアを見掛け、駐在死神が交代した事を知った一護は、いきなり自室に現れたルキアにも驚く事はなかった。

「ちょっと待てっ!」

 話し始めたばかりでストップが入り、一護は出鼻を挫かれた気分で振り返る。声を上げたのは冬獅郎で、死神達の注目が集まって焦っていた自分に気付いて咳払いをする。

「その点について、黒崎一護が『空座町の守護者』だという噂を聞いたが、本当なのか?」
「あ、それは本人に確認取りました。間違いないそうです。」

 冬獅郎の疑問に応えたのは清音だ。

「『空座町の守護者』、とは何じゃ?」

 此処で疑問を覚えたのは、自隊の隊員が空座町の駐在任務に就いていない隊長格だ。
 砕蜂は流石に隠密機動の総司令官として噂だけは知っていたが、眉唾物と決めて掛かって確認をしていなかった。
 一方で、卯の花は、他の街で駐在任務中に負傷して救護詰所に運び込まれた隊員から聞いて知っていた。
 純粋に『空座町の守護者』の存在を知らなかったのは、元柳斎と剣八のみである。
 元柳斎の疑問に応えたのは浮竹だ。

「空座町の駐在任務に就いた隊員の手に負えない虚が出た時に、影から援助をしてくれた者がいたそうです。姿を現す事がなく正体は知れなかったのですが、命を救われた者も少なくありません。」
「ほう?」
「十三番隊で世話になるまで、そんな大袈裟な呼び方されてるなんて知らなかったんだよなー。」

 一護は困惑しているとばかりに眉を顰めてカリカリと頭を掻く。

「話を戻すな。生憎とルキアが家に入って来たのが私の部屋で、私の霊圧が満ちた部屋でルキアの探査能力が阻害されたらしい。虚の気配を追えなくなってた。」

 一護の言葉に、清音も小椿も浮竹も、ルキアの実力を知る者が呆気に取られる。

「で、私としては実力晒す気がなかったから、ルキアの補助しようと思ってたら、ルキアが身を挺して私を庇った所為で霊力殆ど吸い取られちまって、深手を負って身動き取れなくなった。」
「実力晒す気がない?」

 疑問を差し挟んだのは狛村だ。

「私は生まれた時から藍染に目を付けられてた。」
「何故、藍染が目を付ける?」

 白哉も疑問を挟んでくる。

「………話が進まないんだけど?」

 苦笑する一護に、元柳斎もそこは疑問だったのだろう。疑問の解決を優先しろと促してきた。出来れば明かしたくなかった事だが、肝心のラスボスの藍染は知っている。

「市丸は知ってる事なんだけど。」
「?」
「私は、死神の能力を持って生まれてるんだ。」

 一護の言葉に、ギンと夜一以外が全員疑問符を飛ばす。

「ええの? 一護ちゃん。」
「仕方ない。藍染の捏造だって言っても、私の死神としての霊圧がルキアより高くても、納得出来ないんだろ?」

 一護は眉を顰め、不機嫌そうに口を開いた。

「私が元々死神能力を持っていたのは、私が真血だからだよ。」
「⁉」
「莫迦なっ!!」
「え、ええっ? 君が真血って、一体誰の……?」

 一護は腕を組んだ儘それ以上を語らず黙って見ている。

「しんけつ?」
「何だ?」

 現世組も聞き慣れない言葉に戸惑って一護を見るばかりだ。
 隊長格達も、真血の存在は伝説くらいに思っていた者も多く、まじまじと一護を凝視するばかりだ。
作品名:MEMORY 尸魂界篇 作家名:亜梨沙