小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「熟女アンドロイドの恋」 第十話

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
二人はドバイでトランジットしてエイブラハムの本国「ニューイスラエル」へと向かう。
イスラエルは核攻撃で街の大半が汚染されてしまったので、アラビア半島の隅っこへ引っ越しをした。
国連の割譲要請に従ったアラビア王国ではあったが、完全に独立国家ではなく、放射能汚染が確認されなくなったら戻るという条件を与えていた。それでもイスラム教徒のいない、いわば純粋のユダヤ民族の管理下に置かれている自由主義自治区にニューイスラエルはなっていた。

エイブラハムは自国ではそれなりの地位に居る。日本大使館領事と同時に、自国に戻れば国務大臣クラスのポジションに当てはめられる重要人物でもあった。
国家の経済的な自立無くして、民族の繁栄はない。世界に対して過去のようにものが言えるようになるまでには、不毛の地での産業基盤を作り上げることが国家のそしてエイブラハムに課せられた使命でもあった。

国連の決議によって、ニューイスラエルは戦力を保持することが禁じられていた。
二度と同じ過ちを犯さないという確証がない限りこの措置は有効になっている。アメリカによるアラブ地域安全保障条約加盟国になっていたアラビアと同列に扱われていることが同国を反自由主義、反ユダヤ陣営から守っていた。

空港からエイブラハムと梓が最初に向かったところは、大統領府だった。
アラビア国王から任命されたいわば雇われ国王として自由主義国家であるにも関わらず、ほぼ独裁国家となっていた。
核戦争で疲弊した生き残った市民たちには経済的に自立している者が少なく、施しを受けているような状態がずっと10年以上続いている。

新しい国策としてのバイオテクノロジー開発は期待が大きく、エイブラハムは大統領よりも国民からの支持は厚い。
そして日本国は彼らの頼みの綱でもあった。
アラビアからの援助もその莫大な金額はニューイスラヘルへの期待がそうさせている。

エイブラハムは内藤の安否を最優先して情報を集めている。
大統領と接見して、そのことをまずは持ち出した。

「大統領、こちらに居る梓さんは内藤さんの婚約者です。彼女は日本に存在するある犯罪組織から命を狙われている可能性があります。ここに暫く滞在させて頂きたいことをお願いします」

「エイブラハムくん、聞いたところによると内藤さんは研究所を焼かれてしまったというではないか。研究は今後どうなってゆくのか見通しがつかないと、頼みもままならないぞ」

「ええ、そうですね。彼は研究のデータを何らかの方法で残していると思われます。身柄が元通りになれば、われわれの支援ですぐに研究所を立ち上げましょう」

「また、同じようなことになる危惧は無いのか?」

「それは・・・」