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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第九話

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ホテルの部屋で何もすることが無くただ時間だけが過ぎてゆく中で、内藤は今回の取引が最終的にどうなるのかを考えていた。
たとえ裁判が始まっても証人が居ない遺族会側は不利な展開となる。
まして告発を取るに足りないと判断されれば事故の真相追及はどんどん風化してゆく。

生存している当時の遺族や現地の消防署員などはすでに高齢化して、記憶もおぼろげになり、健康も体力も落ちてゆく中で次の訴訟そのものが難しくなる恐れも現実にはある。
事故の真相を追求し、隠された自衛隊の行動とその後の対応に不満を感じた父親が行方不明になっている無念を思えば、自分の研究のためとはいえ、そして、梓の命と交換とはいえ、このまますべてを葬り去っても良いものかと悩んだ。

日本で内藤の状況を知ったエイブラハムは梓の命が狙われていることを悟った。そして、アメリカ政府内の特定人物が墜落事故の隠ぺい工作をした組織と繋がっているかも知れないことを疑っていた。
内藤を匿うと約束した人物が犯罪組織の人間だとは思いたくなかったが、用意周到に準備して空港から内藤の身柄を拘束した手口は、あらかじめ工作されていたとしか言えないような手際よさだと報告を聞いて強く感じた。

ホテルに戻るとすぐにエイブラハムは梓に事の仔細を話した。
アメリカ大使館も信用できないことを知ると、自分は日本には帰れない不安と、本当に裁判に出頭できるのかという不安が重なって憂鬱な気持ちになっていた。

「梓さん、私の部下が詳しいことを調べてくれているのではっきりとはまだ言えないけど、内藤さんの安全を保障する裏取引が行われるかも知れない」

「ええ?どういうことでしょうか?」

「梓さんが依頼してアメリカ大使館へ身柄を預けるはずだった内藤さんが、空港で拉致されてアメリカ大使館へ連れてこられたということは、何を意味しているのかということだよ」

「内藤さんが空港で拉致されたということは本当なのですか?」

「じゃあ、何故ラインが繋がらなかった?私の電話に出られなかった?それでも大使館の中に居ると分かったから、考えたんだよ。内藤さんを連れ去っていったのは大使館に所属している我々を見張っていた組織だっていう事を」

「私が狙われるべきだったのに、どうして空港では内藤さんだけが狙われたの?」