小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ハルコ ~1/2の恋~

INDEX|8ページ/8ページ|

前のページ
 

4 最終回



 ケイタとの再会は思いのほか早かった。
 半年後、それも特別な日に……。
 
 その日は二年前に地元のショーパブでケイタと再会した想い出の日、そして新宿のこの店で再会した想い出の日でもある。

「よう……来ちゃったよ」

 ケイタは軽い調子で笑いながら言ったが、この日を憶えていて、この日を選んで来てくれたことに疑いの余地はない。
 一年前にもその日が何の日なのかを憶えていてくれたのだから

「なんだかんだ言って、幼馴染は気になるからさ」
 ボックスで寄り添うとケイタはそう言って笑ったが、もうハルコにはそれが照れ隠しだとわかる。
「ハルヒコに逢いに来てくれたの? それともハルコに?」
「……ハルコに逢いに来たんだよ……」
 その言葉で充分だった。
 ケイタはこの日を選んで逢いに来てくれた……ハルコはケイタの胸に顔を埋めた。
 力強い心臓の鼓動が伝わって来る、そして、それはやがてハルコの鼓動と重なった。
「本物の女じゃないのはいつも残念に思うけど、今日ほど悔しいって思うのは初めてだわ……」
「それは生まれつきの話だろう? ハルコは自分の努力で女になったんじゃないか? ただ女に生まれついただけの女よりよっぽど女なんじゃないかな」
「でも、あたしには子供は産めっこないもの、やっぱり偽物なのよ」
「どうしてそんな事を気にする?」
「だって……当人同士はそれで良くても、親はそれで良いなんて思わないわ」
「まあ、確かにそれはあるかもな」
「やっぱり……そうでしょう?」
「正直、俺もどうしたいのか、どうなりたいのか自分でもわからないんだ、ハルコの事は好きだ、忘れられない女になってる、でもそれがハルヒコだってことも知ってる、元は男だったって事は知ってるんだよ」
「そうよね……」
「でも、ガキの頃の思い出の中のハルヒコはいつも守ってやらなくちゃいけない泣き虫だった、でも俺はそんなハルヒコが好きだったんだ、誤解するなよ、俺にはゲイの趣味は全然ないからな……ハルヒコは世話が焼けるけど大事な友達だった、いつも一緒に居たい友達だった……そのハルヒコが今はハルコになってる、俺はハルコといつも一緒に居たいんだよ」
 ハルコはケイタをまっすぐ見つめ、ケイタもハルコをまっすぐに見つめた。
 そして、再びケイタの胸に顔を埋める。
「……うふふ……変ね、涙が勝手に出てきちゃう……」
「ははは、ガキの頃からそうだったじゃねぇか」
「そうね……ちっちゃな子供の頃に帰ったみたいな気持……あたし、ニューハーフって呼ばれるの好きじゃなかった、自分じゃすっかり女のつもりでいたたから……でも、やっとわかった」
「わかったって、何を?」
「あたしの半分はハルヒコで出来てるの、後の半分、ハルコはあたしが手に入れた自分……そのどっちもがあたしなんだわ……男の子に産まれて来たことをずっと間違いだったって思ってたけど、そうじゃなかった、あたしは男の子として産まれて、女に成長したんだって……」

 しばらくしてハルコは店を辞した。
 故郷にUターンするため、ケイタがいつでも逢いに来れる場所にいるために。
 そうするつもりだとケイタに連絡すると、建設業のつてを辿って店を探してくれた。
 そして見つけたのが居抜きですぐにでもスナックを始められる、この店なのだ。
 狭いながらも二階は住居になっていてアパートを借りる必要もない。

(@^ ё ^@)   (@^ ё ^@)  (@^ ё ^@)  (@^ ё ^@)

「それがこの店ってわけか」
「そうなの、インテリアはちょっと古臭いけど何だかほっとするのよね……やっぱりあたしの根っこはこの土地にあるんだなって感じる」
「ふぅん……なんかわかる気がするよ、オシャレな店ってウキウキさせられるけど、なんだか腰が落ち着かないって言うか、虚構みたいな感じもあるもんな」
「そう、あたしは腰を落ち着けて見守ることにしたの」
「何を?」
「ケイタさんを、あと、ついでにトオルさんとユウジさんもね」
「俺は?」
「ケンイチさんは東京じゃない、でもこっちへ戻って来た時は顔を出してね、その時だけ見守ってあげるから」
 ハルコはそう言って微笑んだ……ふわりと空気が和むような、そんな微笑だった。

(@^ ё ^@)   (@^ ё ^@)  (@^ ё ^@)  (@^ ё ^@)

 それから一年になる。
 つい最近、ハルコから葉書が届いた……ケイタと連名で。
 あの店の二階で同棲を始めたそうだ、ケイタはそこから親の会社に通うことにしたのだと。
 結婚と言う形にはこだわらないと書き添えてあったが、ケイタの弟が家業に就いたことも書き添えられていた、弟も跡継ぎの資格を持ったということだ。
 なんだか一枚一枚丁寧に障害となる包装紙を剥がして行っている気がする、ケイタが落とされるのも時間の問題かも……。
 ハルコほどの美人を独占させるのはちょっと癪だが、二人の共通の幼馴染として
応援してやらなけりゃいけないんだろうな……やっぱり……。


(終)

作品名:ハルコ ~1/2の恋~ 作家名:ST