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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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SAKURAH PICNIC

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 ― 2033年4月上旬

 イースター休暇を利用して日本に遊びに来ているLOVE BRAVEは、東京の某地区で最も人気のある桜スポットを訪れた。その日も何人もの、いや、何十人もの花見客が、満開の桜を愛でていた。

 彼らが所々で桜の写真を撮りながら移動していると、サーモンピンク色の広いレジャーシートの上に居る、カメラのケンゾウ・ホシノさんの姿を見た。彼は、桜が一番きれいに見える場所をあらかじめ確保しておいたのだ。フィルが
「ヘイ、ホシノさん!」
 と言うと、ホシノさんは自分を呼ぶ声のしたほうを向き、
「あ、こっちです、こっちで〜す!」
 と叫んで手を大きく振った。LOVE BRAVEは、ホシノさんのほうにスタスタ進んでいった。


 4人とも靴を脱がずにシートの上に上がり、お弁当屋さんやコンビニで買ったと思われるランチ&ドリンクを広げた。ジミーが明るく
「日本のきれいな春に、カンパ〜イ!」
 と乾杯の音頭を執り、続けて他のメンバーとホシノさんも
「カンパ〜イ!」
 と叫んで飲み物タッチをすると、桜ピクニックは始まった。

 フィルはローストポー…じゃなくてローストビーフ弁当のふたを開け、お祈りをするとおいしそうに食べ始めた。「花より団子」とは、まさにこのことである。その横で、ヒューゴがスマホでシューティングゲームをしながらチキン&チーズサンドを食べていた。
「おいヒューゴ、食いながらゲームなんかすんな、行儀悪い」
 当然ながら常識人のジミーにツッコまれ、ヒューゴは意外に素直にゲームをやめて食事に集中した。

 ジミーはお祈りをして、トンカツ弁当をゆっくり味わいながら食べている。ホシノさんはペットボトルの緑茶を片手に、紅鮭と昆布のおにぎりとサラダを食べていた。

 スティーブンは、メンバーの中で一番桜に感激し、ランチも忘れてしばらく桜を見ていた。
「これが日本の桜か…」
 そう言うと、彼は瞳を潤ませた。わが子と同世代の相棒の様子に気付いたヒューゴが尋ねた。
「ん?どうしたスティーブン」
 スティーブンは、半ば涙声で言った。
「俺、俺、こんなにきれいな風景見たのは初めてです…」
 ついに彼は手で両目を拭った。そんな彼に、フィルがこう話した。
「いや、スティーブンは赤ちゃん時代に、日本で桜を見たことがあるんだよ。お母上とピッパと一緒にね」
「あ、そうなんですね」

 ホシノさんは桜の下でそのように会話したり、お互いのランチを交換したりするLBの和やかな光景の動画を撮っていた。
作品名:SAKURAH PICNIC 作家名:藍城 舞美